NPB球団の中でも巨人中日の選手に関してはメジャー移籍への敷居は高いと思われていた。しかしここへきて風向きも変化しているようだ。

「巨人では山口俊が2019年オフにポスティングシステムを利用してブルージェイズ移籍を果たした。絶対的エースだった菅野智之のメジャー挑戦も容認されて、2021年オフには契約目前のところまで行った。また巨人自体の経営状況も厳しく高額年俸選手を数多くは抱えられない。状況次第では岡本にも渡米の可能性はある」(巨人担当記者)

 巨人では2002年オフに松井秀喜がFA権を行使してヤンキースに移籍する際、「裏切り者と言われるかもしれないが……」と語ったように主力選手が自らFAで出ていくことにネガティブな見方もあったのも事実。それが原辰徳監督の甥で生え抜きの菅野に対しポスティング移籍を容認するまでになった。

「中日はポスティングを認めていないと元監督の落合博満氏が自身のYouTubeチャンネル内で発言している。またジャリエル・ロドリゲスのMLB移籍へ向けた亡命報道もあったばかり。米球界への嫌悪感が増したとしても不思議ではない」(中日担当記者)

 落合氏がYouTube「落合博満のオレ流チャンネル」内で語ったように、過去に中日はポスティングを容認していなかったようだ。例外的にポスティングを利用してメジャーに移籍した大塚晶文に関しては、入団する際にそういった条件が含まれていたとのこと。現在はメジャー移籍を目指す選手に対して球団がどういったスタンスをとっているか分からないが、歴史的には選手の米移籍については積極的ではなかったのは確かだが……。

「中日の今後の方針はわからない。仮に高橋が海外FA権を取得して移籍すれば球団には一銭も入らない。その前にポスティング制度を使ってビジネスを行う可能性もある。今回のロドリゲスは、言葉は悪いが契約中の選手を盗まれた形。米国球界から少しでもお金を回収したいと思っても不思議ではない」(大手マネージメント会社関係者)

 情報網やネット環境の発達で、日本選手の情報は米国でも簡単に手に入るようになった。またNPBのトップ選手が出場するWBCや五輪などの国際試合は見本市にもなっている。より多くのスター選手が“好条件”を見込めるメジャーへの移籍を望むことは十分考えられる。岡本や高橋についても同様のことが言え、球団がそこでの判断を求められるケースも増えていきそうだ。

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