※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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ひざは関節のなかでも加齢や肥満による影響が出やすいという。ひざに負担のかかる仕事や連日のスポーツなどによるダメージも出やすい。よくある疾患ごとに、ひざの痛みの症状や痛みが起こる原因について専門医に聞いた。

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 体重の大部分を支え続けるひざは関節のなかでもとくに、加齢や肥満などのダメージを受けやすいという。ひざはなぜ痛くなるのだろうか。

 ひざに痛みを引き起こす疾患には大きく分けて、ひざに大きな力が加わったことで生じるものと、加齢によるものがある。

 ひざに大きな力が加わったことで生じるおもな疾患は靱帯損傷や骨折だ。加齢による疾患には、偽痛風や関節リウマチ、特発性大腿骨内側顆骨壊死、変形性膝関節症、半月板損傷などがある。若年者であればひざの使いすぎによる腱炎もある。

 靱帯損傷や骨折の場合は、スポーツ外傷や交通事故など、一度に外力がかかった結果として生じる。また、ジャンプの繰り返しなど軽微な外力が積み重なって痛みを生じることもある。

 中高年で明確なきっかけが思い当たらないひざの痛みは、偽痛風や関節リウマチなど炎症性の疾患の場合もある。偽痛風は60代以上に多く、ひざの中に突然、ピロリン酸カルシウム結晶が出現することで炎症を引き起こす。関節リウマチは免疫の異常により関節に炎症が起こり、関節の痛みや腫れが生じる病気だ。

 急にひざに激痛を感じた場合は、特発性大腿骨内側顆骨壊死が原因のことがある。ひざの内側顆と呼ばれる大腿骨の一部が壊死に陥り、陥没骨折が生じてしまう病気だ。60代以上の女性に生じやすく、半月板損傷との関連性が指摘されている。

 50代以降でこれといったきっかけもなくひざが痛みはじめた場合は、変形性膝関節症であることが多いという。高槻病院関節センターセンター長の平中崇文医師はこう説明する。

「変形性膝関節症は加齢によってひざの軟骨関節がすり減り、進行すると骨も変形していく病気です。初期では歩きはじめなどの動作の開始時に痛み、歩きだすと痛みが気にならなくなったりします。徐々に階段の上り下りなどが難しくなっていき、O脚やX脚など、ひざの変形が目立ちはじめます。進行すると、ひざがまっすぐに伸びず歩行が困難になってきて、安静時にも痛むようになります」

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加齢とともに軟骨が変性