夫の家事育児時間と第二子以降の出生
夫の家事育児時間と第二子以降の出生

 筆者の質問に対して、厚労省雇用環境・均等局職業生活両立課の平岡宏一課長は、こう答えた。

「育休は取得率と取得日数のかけ算で求めた『積』が大事なポイントで、この面積をどう増やしていくか、というお話がありましたが、男性の育休取得率自体が低い状況なので、まずは取得率から公表するということで、この制度が導入されたものと承知しております」

なぜ、公表できないのか

 ただ、国がどこまで意識したのかは不明だが、取得率の公表のみを義務化し、取得日数の記載は任意とするのは、企業に男性の育休取得を促すには効果的な方法かもしれない。

 本当に男性の育休取得を推進する企業であれば、取得率と取得日数の両方を公表するだろう。しかし、取得日数を空欄にした企業に対しては「なぜ、公表できないのか」と、社会から圧力が働く。その結果、職場全体の働き方改革が迫られる。

「企業トップや人事部門からの声かけで取得率の向上はできますが、誰が休んでもまわる職場づくりができていないと取得日数は増えない、ということがわかった調査結果」と、小室さんは述べたうえで、全社的に働き方改革を行うと、必ず行き着くのが属人化の解消だという。

 小室さんは、さらにこう続けた。

「同僚が普段から休めていないなかで育休をとると非常に肩身が狭い。ですから、特別な事情がなくても休める、お互いさまの風土がある職場をつくることが重要です。普段から、あの人にしかできない仕事とか、特定の人に情報が偏っている仕組みを改善することで、育休をとる人の肩身の狭さが軽減され、十分な日数の育休を申請できるようになると思います」

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)