救世主となったヌートバーを始め、打線は13安打13得点の猛攻。韓国戦でも下位打線が起点になり、大量得点につなげた。投手陣も先発のダルビッシュがピリッとしなかったが、4回から登板した2番手の今永昇太が3回1失点と踏ん張り、7回以降は宇田川優希、松井裕樹、高橋宏斗が無失点リレーできっちり抑えた。

 一方で、韓国は1次リーグ初戦の豪州戦で黒星を喫したのに続き、日本にも敗れて2連敗。WBCは3大会連続で1次リーグ敗退が濃厚となった。「打倒・日本」に燃えた今回は最終メンバーを早々と発表するなど並々ならぬ決意で臨んだが、投打で日本に圧倒されたショックは大きい。選手たちが厳しい表情でベンチから引き上げる様子が映し出されていた。

 メジャー関係者は「日本はもはや韓国をライバルと思っていないでしょう。投手力で日本の方が数段上なのは間違いない。特に制球力、変化球の精度に大きな差を感じます。日本はメジャーで通用する逸材がゴロゴロいる。韓国はイ・ジョンフが別格だが、それ以外の選手は個々の能力で日本に見劣りする。この結果は必然です」と指摘する。

 2008年の北京五輪で金メダル、09年のWBCで準優勝に輝いたが、その後は国際大会で目立った戦績を残していない。21年の東京五輪でメダルを逃し、今回のWBC1次ラウンドでも日本との直接対決で屈辱的な大敗を喫した。韓国野球が岐路に立たされている。(今川秀悟)