フジテレビの新番組『オールナイトフジコ』でMCを務めるテレビプロデューサーの佐久間宣行
フジテレビの新番組『オールナイトフジコ』でMCを務めるテレビプロデューサーの佐久間宣行

 4月に始まるフジテレビの新番組『オールナイトフジコ』で、テレビプロデューサーの佐久間宣行がMCを務めることがわかった。この番組は、かつて放送されていた伝説の深夜番組『オールナイトフジ』の復活版として、毎週金曜深夜に2時間にわたって生放送される。佐久間と共にさらば青春の光の森田哲矢とオズワルドの伊藤俊介もレギュラー出演する。

【写真】地上波で見ないのに「年収2億円」のお笑いコンビはこちら

 この番組の総合プロデューサーを務める秋元康は、以前から佐久間のタレントとしてのスキルを高く買っていた。彼の将来性を見込んで大抜擢をしたのだろう。

 佐久間のMC起用が異例の大抜擢だと言える理由は、近年のテレビではこのぐらいの知名度の文化人タレントの大胆なキャスティングが少なくなっているからだ。

 テレビ業界では、人前に出ることを本業としない学者や評論家などの出演者のことを「文化人」と呼ぶ慣習がある。昔に比べると、近年は文化人がバラエティ番組に出演する機会は少なくなっている。

 もちろん、文化人がテレビに出なくなっているわけではない。今のテレビでは、時事ネタを扱う情報番組の枠が大きくなっていて、その中でコメンテーターとして出演している文化人は大勢いる。また、インテリ系の文化人がクイズ番組などの教養系のバラエティ番組に出る需要はそれなりにある。

 しかし、それ以外の一般的なバラエティ番組では、文化人を見かける機会が年々少なくなっている。特に、ゴールデン・プライム番組のMCを務めるほどの立場にまで上り詰めたのは、マツコ・デラックス、池上彰、林修など数えるほどしかいない。なぜ文化人のバラエティ出演が減っているのだろうか。

 その最大の理由は、番組の制作費がどんどん削られていることだ。かつては、1つの番組に多くのタレントを起用することができた。その中で「文化人枠」を設けて、文化人を出演させることができた。

 しかし、今のテレビにはそんな余裕がないため、一番組あたりの出演者の数が最小限のものになっている。その中では、仕切りができたりコメントが面白かったりして器用に立ち回れるタレントが優先され、文化人が起用されにくくなっている。

著者プロフィールを見る
ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

ラリー遠田の記事一覧はこちら
次のページ
芸人の立場が強くなりすぎた