大規模災害が発生したとき、国や自治体が最初の選択肢として進める「在宅避難」。災害後、被災地への支援体制が整い、物流が回復するには時間がかかるので、在宅避難中は“家にあるもの”でしのがなければならない。命をつなぐための備蓄や準備は、いまこの瞬間から始める必要がある。『【保存版】新しい防災のきほん事典』(監修 永田宏和・石井美恵子)から、在宅避難を想定した5つの準備を学んでおきたい。

【図版】災害時に備えてふだんから持ち歩くべき8品

家の中を「安全」な環境にしておく

 自宅が安全でなければ在宅避難はできない。まずは室内の状態を整え、災害が起こっても安全に過ごせる環境を整える必要がある。家具は固定し、食器やインテリアなどが飛んで散乱しないよう、すべり止めを敷いておく。ガラスには飛散防止フィルムを貼っておきたい。

ライフラインの代替手段を準備しておく

 災害時には多くの場合、ライフラインが断たれる。電気やガス、水道が止まった状態でも家族全員が1週間は過ごせるように、カセットコンロとカセットボンベ、ヘッドライトやLEDランタン、飲料水などを多めに用意しておく。近所の「災害時給水ステーション(給水拠点)」を自治体のホームページなどで確認しておくことも大切だ。

飲料水は少なくとも1週間分を確保する

 今後発生するとされている震災では、1週間以上の断水被害が予想されている。混乱した状態では、給水もすぐには受けられない。命を守ることができるだけの水は用意しておく必要がある。飲料水なら、1人あたり1日2リットルを1週間分、つまり14リットルは確保しておきたい。

 トイレや洗濯などの生活用水は、ペットボトルやポリタンクに入れておけば、使い終わった後は給水時の運搬容器としても使える。浄水器を通していない水道水を飲料水として使えるのは3日間。4日目に残っていた分は、洗濯などに使いたい。お風呂の残り湯はすぐに抜かず、次に湯を張るときまで湯船に残しておくと、これも生活用水として使うことができる。ただし、湯船いっぱいに入っていると、地震の揺れと湯の圧力で浴槽が破損してしまう可能性があるので、6割程度に。雑菌が繁殖している可能性があるので絶対に飲まないこと。

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冷蔵庫の食品で3日、ローリングストックで4日