さらに日本では苦しんでいる印象もあった藤浪ですら、そのポテンシャルが評価され年俸325万ドル(約4億3000万円)に出来高の付いた1年契約を勝ち取った。

「藤浪がアスレチックスと結んだ契約には驚いた。投手としての潜在能力は高く復活の兆しは見せつつあった。しかし調子が悪かった時期を考えると獲得のリスクは高い。年齢的にも決して若くはないが、投資に値する投手という判断だろう」(MLBアジア地区担当スカウト)

 このようにメジャーに移籍した選手たちが大型契約を勝ち取る光景は間違いなく、日本でプレーする選手にも影響を与えただろう。「これだけ貰えるのであるならば、メジャーに行こう」と考える選手が増えてもおかしくない。

「日米の年俸差がここまであれば、選手も現実的になる。例えば、藤浪がアスレチックスで活躍して満額近くの出来高を手にすれば6億円近くになり、NPB上位の選手と変わらない。あれだけ苦しんでいた投手が環境の変化で大金を手に入れられる。まさにアメリカンドリームです」(在京テレビ局スポーツ関係者)

「MLB全体の景気の良さが(年俸高騰の)要因の1つ。コロナ禍が収束しつつあり、MLBの昨年の収益は過去最高となった。各球団が攻めの姿勢で補強費に金額を注ぎ込むようになった。可能性がある選手にどんどん投資するはず」(在米スポーツライター)

 今シーズンのオフには、今季中に海外FAの権利を得る可能性のある松井裕樹(楽天)、ポスティングシステムを利用して今永昇太(DeNA)、高橋光成(西武)のメジャー移籍が噂されている。だが他にも海外FAの権利を有している選手などもおり、“まさか”の選手の移籍もあるかもしれない。

「米国球団が本気になっている限り、好条件の提示が進むはず。お金が全てではないが、NPBと比べ物にならない大金。選手生活は決して長くないので、一攫千金で米国を目指す選手が増えてもおかしくない」(大手エージェント会社)

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WBCではメジャー球団が熱視線?