現代人が酷使しがちな、眼。眼の不調や症状のなかには、すみやかに受診すべきものもあります。どのようなサインが出たら受診を急ぐべきなのか、症状や病気などについて紹介します。本記事は、2023年2月27日発売の『手術数でわかる いい病院2023』で取材した医師の協力のもと作成し、お届けします。

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■カメラのような構造になっている眼

 大人の眼は直径24ミリ前後の球体で、さまざまな組織で成り立っています。眼球の最も外側にあり、一般に白目と呼んでいる部分が強膜で、眼球の外壁になっています。眼球の前方にあり、一般に黒目と呼んでいる部分が角膜で、光を眼内に取り込んでいます。強膜の表面やまぶたの内側を覆っている柔らかく薄い膜が結膜です。

 眼球の最も内側に貼り付いている透明な膜が網膜で、カメラでいうフィルムの役割をもちます。外界からの光を電気信号に変換し、視覚情報を脳へ伝達するのです。つまり、光が網膜に当たって初めてものが見えます。

 網膜の中央にある直径2ミリほどの黄斑。そこで文字や色を見ています。カメラのレンズにあたる部分が水晶体で、厚くなったり薄くなったりしてピントを調節しています。

■視界に変化があれば要注意

 ものを見るのに重要な網膜。その病気は複数あります。症状から紹介していきましょう。

 視界の真ん中が薄暗くなって見えなくなったり、ものがゆがんで見えたりしたら、加齢黄斑変性や黄斑円孔などの黄斑の病気が疑われます。

 視界の上半分または下半分が薄暗くなってゆがんで見えたり、視界の全体が暗くなったりしたら、網膜剥離や網膜の静脈が閉塞して血液が流れなくなる網膜静脈閉塞症の可能性があります。網膜剥離は緊急手術になることも多い病気なので気付いたらすぐに、静脈閉塞症は発症から1カ月以内に治療を開始すべき病気です。

 糖尿病の人がかかる病気で、失明する可能性がある病気が糖尿病網膜症です。自覚症状がなく、「最近視力が落ちたな」と感じたときには手遅れになっているという怖い病気です。数カ月で失明する人もいますので、糖尿病だと診断されたら定期的に眼科へ通いましょう。

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50代以降は、眼にも主治医を