新・お笑いコンテスト『THE SECOND~漫才トーナメント~』への参戦を表明しているランジャタイ
新・お笑いコンテスト『THE SECOND~漫才トーナメント~』への参戦を表明しているランジャタイ

 2001年に始まった『M-1グランプリ』は、お笑いコンテストの歴史を変えた。それまでのお笑いの大会というのは、世間ではほとんど知られていないマイナーなものだった。興味を持っているのは、芸人や業界関係者と、一部の熱心なお笑いファンだけだった。

【写真】地上波で見ないのに「年収2億円」のお笑いコンビはこちら

 大阪のテレビ局が主催する関西芸人向けのお笑いコンテストは以前から存在していたが、そこまで有名ではなかったし、その影響力は関西圏にとどまっていた。

 しかし、『M-1』はそんなお笑いコンテストの常識を覆した。全国ネットのゴールデンタイムに生放送される『M-1』は、回を追うごとに視聴率が伸びていき、爆発的な人気を獲得するようになった。朝日放送と吉本興業が主催する『M-1』がメジャーになったことで、ほかのテレビ局でもお笑いコンテスト番組が続々と作られるようになった。

 2002年にはピン芸人の大会『R-1グランプリ』(当時の表記は『R-1ぐらんぷり』)、2008年にはコントの大会『キングオブコント』、2017年には女性芸人の大会『女芸人No.1決定戦 THE W』が始まった。『M-1』が休止していた2011年から2014年には漫才の大会『THE MANZAI』も行われていた。

 それぞれの大会の優勝者やファイナリストが、その後にほかのバラエティ番組に出ていくという流れも確立した。コンテストの中でそれぞれの芸風やキャラクターが認知されたり、芸人同士の因縁が生まれたりして、それが新たな仕事につながっていく。いまやお笑い界はそのような賞レース番組を中心に回っていると言っても過言ではない。

 そんな中で、また新しいお笑いコンテストが始まることになった。それがフジテレビが制作する『THE SECOND~漫才トーナメント~』である。この大会の最大の特徴は「結成16年以上」のベテラン芸人が対象であるということだ。

 ほとんどの賞レースは「芸歴◯年以内」「結成◯年以内」といった芸歴の制限が設けられていて、実質的に若手芸人向けの新人賞のようなところがある。しかし、『THE SECOND』は芸歴の「下限」を設定して、上の世代の芸人だけが参加できるというところが画期的である。

著者プロフィールを見る
ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

ラリー遠田の記事一覧はこちら
次のページ
くすぶり芸人たちのまさにセカンドチャンス