■卵巣がんは手術後に確定診断がおこなわれる

 卵巣がんも、50歳以上の閉経後の人に多く、発症には排卵回数が多いことや不妊、子宮内膜症などが関係しているといわれています。また、「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」という、遺伝的な要因で起こるものも2割程度あるとされます。

 このがんは、初期にはほとんど症状がないため早期発見が難しく、進行した状態で発見されることも少なくありません。再発も多く、子宮頸がんや子宮体がんと比べて5年生存率が低い傾向があります。

 卵巣がんの診断では、内診や超音波(エコー)検査、CTやMRIなどの画像検査をおこないますが、卵巣はおなかのなかにあるため、直接、組織を採取することができません。確定診断には手術により卵巣を切除し、採取した病理組織を顕微鏡で調べることが必要です。がんが進行し、おなかに水(腹水)がたまっている場合には、腹水を採取してがん細胞の有無を調べることもあります。

 進行してから発見されることが多い卵巣がんですが、治療では、まず手術をおこないできる限りがんを取り除きます。切除したがんの組織により卵巣がんであることの確定診断と病期診断をおこない、がん細胞の性質や悪性度なども調べて治療方針を検討します。

 卵巣がんでは多くの場合、術後に薬物療法をおこないます。最初の手術でがんを取りきれなかった場合は、薬物療法の後に再度手術をおこなうこともあります。

■妊娠・出産を希望する場合の選択肢も

 子宮や卵巣という、生殖にかかわる臓器にできるがんの治療では、妊娠・出産のための機能を残す「妊孕(にんよう)性温存」も治療選択のポイントとなります。

 子宮頸がんでは、妊孕性温存手術として、ごく早期におこなわれる「子宮頸部円錐切除術」と、子宮体部と卵巣を残し、子宮頸部を広く切除する「広汎子宮頸部摘出術」という方法があります。2センチ以下の早期がんであれば、子宮を全摘出する手術と再発リスクは変わらないという報告もありますが、難度の高い手術であり、実施できる施設は限られています。

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がんの治療が最優先だが、希望する場合は主治医に相談を