阪神・小幡竜平(左)とソフトバンク・リチャード(右)(写真提供・阪神タイガース/福岡ソフトバンクホークス)
阪神・小幡竜平(左)とソフトバンク・リチャード(右)(写真提供・阪神タイガース/福岡ソフトバンクホークス)

 このオフのストーブリーグも後半戦に入った印象を受けるが、現役ドラフトがあったことで例年以上に移籍も多く、レギュラーが入れ替わる球団が出てくる可能性は高い。そこで少し気が早いが、来季に向けてレギュラー争いが注目されるチームのポジションについて探ってみたいと思う。

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 まず野手の移籍が最も活発だった球団と言えばやはり中日になるだろう。ここ数年二遊間のレギュラーを務めていた阿部寿樹、京田陽太をともにトレードで放出し、ドラフトでも4人の内野手を指名したこともあって、ファーストのビシエド以外はかなり流動的な状況である。今年怪我で長期離脱した石川昂弥が問題なく復帰すればサードで固定し、セカンドは今シーズン終盤に起用が多かった高橋周平、ショートは今年大きく成績を伸ばした土田龍空という形が無難である。

 しかし高橋に関してはサード一本で勝負するという話も出ており、膝の故障明けである石川をセカンドに回すことが難しいとなれば、ポジションが一つポッカリ空くことになる。そうなると候補になるのがルーキーの選手たちだ。5位の浜将乃介は高校、独立リーグでも外野での起用が多く、1年目から一軍で内野を任せられるとは考えづらい。そうなると2位の村松開人、6位の田中幹也、7位の福永裕基の3人が有力候補となる。指名順位的には2位の村松にかかる期待が大きいが、意外に面白いのが7位の福永だ。

 専修大時代はミート力が光る巧打者という印象だったが、社会人で見違えるほどスイングが力強くなり、長打力もアップした。今年は春先から好調で3月のJABA東京スポニチ大会では3試合で3本塁打、4月のJABA京都大会でも3試合で2本塁打とホームランを量産し、社会人4年目にしてプロ入りを勝ち取った。守備に関してはプロに入ると目立つレベルではないが、今年指名した選手の中ではチームに不足している長打力を最も備えているだけに、積極的に抜擢してもらいたい選手である。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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阪神もセカンドの定位置争いが激化か