先ほども触れたが、秋篠宮さま皇室の課題として「皇室の情報発信も、正確な情報をタイムリーに出していくということが必要」とあげたうえで、広報を強化の手段として皇室のSNSの活用に触れた。さらに、世の中が「スマホ、スマートフォンを使って調べる時代になっている」と説明した上で、「SNSにたどり着いて、さらに詳しく知りたい人は、本体であるWEBサイトの方を見る(中略)そういう構図を宮内庁も考えているのではないか」

 と説明した。

 秋篠宮さまは、正しい情報を国民に届けるツールとして「SNSの活用」を口にしたのだ。確かに、天皇陛下はもちろん、高齢の皇族方では提案できない内容だ。

「皇族のスポークスマン役」を自認し、皇室と国民との橋渡し役であった故・寛仁親王に代わるように、秋篠宮さまが天皇や他の皇族方が口にしづらい事柄について問題提起をしている部分もある。  

 皇室は、ある種、世間を隔絶した空間を保持した世界でもある。宮内庁という役所の管轄にありながらも、天皇家の私生活部分は「奥(おく)」と呼ばれる侍従や女官が支え、その中身は表に出ることはない。また、古来のしきたりを守りながら皇室の祭祀に従事する掌典や内掌典の存在など、うかがい知ることのない神秘性を持つのが皇室でもある。

 それだけに、世俗性を感じるテクノロジーの活用は、遅い傾向がある。

 宮内庁がホームページ(HP)を開設したのが1999年。当時は、ニュースとして注目されたほどだ。そして四半世紀前に作られたHPは、ほとんど変わることなくいまに至る。

「しかし、このSNS全盛の時代です。皇室メンバーが外出すればスマホで写真に撮られ、あっという間に情報が拡散します。皇室がどこまで世俗的な社会と距離を置き、神秘性を保つことができるのか、疑問です」

 森教授は、そう指摘した上で、こうも言う。

「あえて厳しい言い方をするならば、会見の言葉から国民との相互コミュニケーションによって信頼を得るという視点が欠けている印象を受けました。これまでの宮内庁のHPと同じ感覚で、『正しい情報』をSNSで細切れかつ一方的に発信したところで、国民の耳に届くかどうかは疑問が残ります」

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若い皇族方が匿名で発信している?