赤坂御用地を紀子さま、次女佳子さま、長男悠仁さまとともに散策する秋篠宮さま(2022年11月6日)
赤坂御用地を紀子さま、次女佳子さま、長男悠仁さまとともに散策する秋篠宮さま(2022年11月6日)

 ここ数年、注目を集めてきた秋篠宮さまの誕生日会見。57歳を迎えた今年、SNSの活用への発言が話題を呼んでいる。だが皇室の研究者である森暢平・成城大文芸学部教授は、革新的に見える秋篠宮さまの発言を読み解くと「皇室のガラパゴス化が伝わってくる」と話す。

【写真】30億円の改修を終え、公開された秋篠宮邸

*  *  *

「そういう可能性も、もちろんあり得る」

 皇族がSNSを個人のアカウントで発信する可能性について質問された秋篠宮さまは、こう答えた。

 英王室をはじめ海外の王室では、王族がインスタグラムなどSNSの個人のアカウントを持ち、投稿することも珍しくない。

 秋篠宮さまも、「今後の検討課題」としながらも、「皇室の発信は間接的でない方がストレートに伝わる」「皇族の誰かが個人のアカウントで発信しているかは知らない。私はやらない」と一部、肯定的ともとれる姿勢をみせた。

 しかし、かつて新聞社で宮内庁担当記者を務めた森暢平・成城大文芸学部教授は、違和感がぬぐえなかった。

「秋篠宮さまも記者も、『発信』という言葉しか用いなかった点です。本来、SNSは相互コミュニケーションの手段であって、一方的な発信の場ではないはずです」

 先駆的な王室として知られる英王室が公式フェイスブックを開設したのは2010年。14年には、ツイッターと同じ水色のスーツに身をつつんだ当時88歳のエリザベス女王が、公式アカウントからツイッターでつぶやいている。

 英王室メンバーのチャールズ国王とカミラ王妃、長男のウィリアム王子とキャサリン妃のインスタグラムは、共感を示す「いいね!」マークも押せるし、投稿へのコメントも書き込める。家族との時間や華やかなシーンなど私生活を映した動画も投稿され、国民との絆の構築に貢献しているのは、他の王室も同じだ。

「秋篠宮さまが皇室への誹謗(ひぼう)中傷対策の一貫、広報強化としてのSNSに触れたこと自体、前向きな考え」

 広報は英語でパブリック・リレーションズ(Public Relations)と表す。つまり、人々との「関係」や「交渉」を意味する、と森教授は言う。海外王室は、国民の反応を予想して動画や写真の投稿を行い、相手とのコミュニケーションを楽しんでいるのだという。

次のページ
うかがい知ることのない神秘性