写真はイメージ(GettyImages)
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近視が強くなると、さまざまな目の病気にかかりやすくなる。また、視力を回復するレーシック手術は、近視が強いと合併症のリスクが高まる。近視が強くてもできる手術として、眼内コンタクトレンズ(ICL)が注目を集めている。今年10月には女優の桐谷美玲さんが自身のInstagramでICL手術を受けたことを報告している。近視が進行することによるリスクとICL手術について、専門医を取材した。

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 近くのものははっきり見えるのに、遠くのものがぼやけて見える近視。眼球の前後の長さである「眼軸長」が正視の人よりも長いのが特徴だ。眼球の表面から入った光は、正視の人の場合、眼底(眼球を真上から見た場合の底の部分)にある網膜で像を結ぶが、眼軸長が長いと、網膜よりも前方で像が結ばれてしまう。このため、近くのものにしかピントが合わなくなる。

 近視の程度は、屈折異常の度合いによって、「弱度」「中等度」「強度」に分類される。屈折異常の度合いを示すのがジオプトリー(D)という単位で、メガネの処方箋やコンタクトレンズが入っている箱に表示されている。正視は「0」、近視はマイナス、遠視はプラスとなる。

 日本では一般的に、マイナス0・5D以上マイナス3D未満の近視を「弱度」、マイナス3D以上マイナス6D未満の近視を「中等度」、マイナス6D以上の近視を「強度」と分類している。

 正視の人の眼軸長は23・7~23・8ミリと言われ、1ミリ伸びるごとに近視になり、27ミリ以上になると強度の近視に、30ミリ以上になると合併症が生じている可能性が高くなる。

 眼軸長は身長が伸びる時期に長くなりやすく、からだの成長が止まると眼軸長の伸びも止まるため、近視も進行しにくいと言われてきた。しかし、東京医科歯科大学病院眼科教授の大野京子医師はこう話す。

「近年はスマートフォンなどの普及によって、大人になってから近視を発症したり、進行したりするケースが増えています」

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近視が強くなるほど眼球が前後に伸びる