週刊誌「AERA」2014年11月24日号の表紙にイーロン・マスク氏
週刊誌「AERA」2014年11月24日号の表紙にイーロン・マスク氏

 トップIT企業が必要としている優秀なエンジニアは米国西海岸の地域に住んでいることが多く、その人材は常に不足しているという。なので、解雇の危機にあるのは主にそれ以外の部門の社員という。

 メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、大規模解雇を断行する理由の一つとして広告収入の減少を挙げた。

「メタバース企業を目指しているメタが削減するのは広告の制作部門や、その営業部門の余剰人員でしょう。メタは中小企業向けに、オンラインで直接、顧客に製品を販売するためのチャットのサービスを提供していますが、その営業担当者を減らすとか」

 実をいうと、消費マインドに一番直結している企業はアマゾンでもメタでもなく、アップルである。iPhoneなどの製品を販売して収益を得ている同社を中長期的に見れば、今後、消費マインドの冷え込みが業績に影響を与える可能性はある。

「でも、直近で消費マインドの低下傾向によって広告収入の減少し、広告事業が主体のメタは人員削減を打ち出したわけです。その次に影響が大きいのはグーグルでしょう」

キラキラ社員はいらない

 一方、11月8日にニューヨーク証券取引所への上場が廃止となったソーシャルメディア大手のツイッターが行った大量解雇は、まったく別の理由という。

「ツイッターを買収してCEOになったイーロン・マスク氏が取締役や従業員を解雇するというのは以前から想定されていたことです。要するに彼は『寝ないで働くやつ』としか一緒に働かない、ということです」

 これまでにマスク氏は、宇宙ロケット製造・打ち上げ企業「スペースX」を立ち上げ、とてつもないスピードでロケットの開発を推し進めてきた。さらに「ロケットの製造から量産、飛ばし方まで、すべてが従来と違っていた」。

 マスク氏がスペースXで行ってきたことを振り返ると、取締役会や株主の了承を得たうえで事業を進めるというやり方は彼の流儀にはまったく合わないことがよくわかる。

「ツイッターの旧経営陣全員の首を切った、ということは、会社の方針をガラリと変える、ということです。彼が求めるのは日本の1950年代、60年代の『モーレツ社員』みたいな人です。深夜だろうと、休日だろうと、働くことをいとわない社員。なので、キラキラしたツイッターの名前に引かれて入ってきたような人はもういらない。できるかぎり彼と意識を共にして働ける人だけを残したい。そう考えているでしょうね」

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