関節痛で活動量が減ってしまうと、体力や筋力の衰えにつながります ※写真はイメージです (c)GettyImages
関節痛で活動量が減ってしまうと、体力や筋力の衰えにつながります ※写真はイメージです (c)GettyImages

 冬になると、寒さと冷えで関節の痛みに悩まされる人も多いのではないでしょうか。関節痛が重くなると、思うように身体を動かせず、つい家にこもりがちになってしまうこともあります。いつまでも自分の足で元気に歩くためにも、しっかりケアをしてつらい痛みを改善しましょう。日本の漢方のルーツである中国の伝統医学「中医学」の専門家が、【関節痛のケア】を紹介します。関節痛をやわらげるためには、単に痛みを抑え込むだけでなく、体内の不調を改善して「痛みを発症しにくい体質」に整えることが大切です。

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■「お血(おけつ)」が痛みを引き起こす

 関節痛は、関節の周辺に生じる痛みの総称で、膝や手足の指、手首などに多く発症します。その原因はさまざまですが、加齢によって関節の動きを支えている軟骨や筋肉が衰えたり、血液の循環が悪くなったりすることで痛みが起こるとされています。

 中医学では、関節痛や腰痛などの痛みの症状を「痺症(ひしょう)」と言います。これは、「不通則痛(ふつうそくつう)」(意味:詰まると痛みが生じる)の原則によるもの。痺には“詰まって通じない”という意味があるため、気血の流れが滞って起こる痛みの症状は、総称して痺症とされています。

 このように、関節痛の主な要因となるのは、気血の停滞による「お血(血行不良)」の状態です。さらに、身体を冷やして「お血」を引き起こす邪気の風邪(ふうじゃ)・寒邪(かんじゃ)・湿邪(しつじゃ)の侵入も、痛みを発症する要因に。また、臓器では血を貯蔵する「肝」と、骨の状態や老化と関わる「腎」の機能低下が関節痛と密接に関わっています。

 関節痛をやわらげるためには、単に痛みを抑え込むだけでなく、こうした体内の不調を改善して“痛みを発症しにくい体質”に整えることが大切。また、関節の痛みは変形性関節症や関節リウマチといった病気が原因となっていることも多いため、症状が強い場合は早めに医師の診察を受けることも大切です。

■つらい痛みを軽くする 「関節痛」の予防と対処

 加齢による身体の不調はだれにでも訪れるものですが、適切なケアをすれば緩和することができます。関節痛もその一つ。あきらめずに体質をしっかり整えて、つらい痛みを改善しましょう。

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予防と痛みが出たときのケアとは