郡司恭子アナ(撮影/加藤夏子)
郡司恭子アナ(撮影/加藤夏子)

 ファッションでも注目される郡司アナがアパレルブランドを立ち上げたのだから、話題となるのも当然だろう。

「Audire」(アウディーレ)は郡司アナが「アナウンサーも事業に貢献したい」と提案したところからスタートした。今年5月、日テレは新中期経営計画で「テレビを超えろ、ボーダーを超えろ。」をスローガンに掲げ、「新規ビジネス創出の加速」を重点項目のひとつとすると発表した。それ以前から社内では新規事業の公募が活発に行われており、郡司アナはそれに手を挙げていた。ただ、最初からアパレル事業を企画していたわけではない。最初に企画したのは「韓国ドラマのリメイク」だったという。

「最初に企画書を書き始めたのは、コロナ禍になった2020年の夏くらいです。そこで企画書を提出したのが、私のアナウンサーらしからぬ仕事の第一歩でした(笑)。提案したのは、韓国ドラマのリメイク版を放送する企画でした。女性アナウンサーを取り巻く人間模様をテーマにした韓国のミステリードラマと、韓国の芸能界を描いたドラマのリメイク版を企画しました。ただ残念ながらその企画は成立しませんでした。でもそれに懲りず、オリジナルドラマの企画も考えました。子会社のHuluに企画書を持ち込んだこともあるんですよ(笑)。企画のヒアリングを受けるところまで進んだものもあったんですが、実際に制作までには至りませんでした」

 アナウンサーという本業を抱えながら驚くべき行動力だが、それから1年後の昨年8月。郡司アナは「アウディーレ」の事業計画を会社に提案した。「Audire」とはラテン語で「聞く」という意味だ。

「ブランドのコンセプトは『Wear the Voice.』=心地いい私をまとう、という意味です。私は10年近くアナウンサーをやってきて、自分の本音に耳を傾けて、自分の本音を知り、聞いてあげることが、何よりも大切だと思うようになりました。自分の本音をまとうことが、心地よい世界が広がるきっかけになると思ってブランド名をつけました。このコンセプトを作るだけでも4カ月かかりました(笑)」

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「私も商談の席につくこともあります」