ともに古巣の指導者となった巨人・阿部慎之助(左)と小久保裕紀(右)(写真提供・読売ジャイアンツ/福岡ソフトバンクホークス)
ともに古巣の指導者となった巨人・阿部慎之助(左)と小久保裕紀(右)(写真提供・読売ジャイアンツ/福岡ソフトバンクホークス)

 巨人・阿部慎之助(作戦兼ディフェンスチーフコーチ※来季からヘッドコーチに昇格)とソフトバンク・小久保裕紀(二軍監督)。

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 ともに現在指導者を務める球団のレジェンドであり、次期監督候補と言われているが、いまだに「お呼び」がかからない。チーム状況、指導者としての資質など、まだ“条件”が揃っていないという。監督就任までは、もう少し時間がかかりそうな気配があるが、2人がチームを指揮する日は来るのだろうか……。

 巨人とソフトバンクはNPBを代表する強豪球団だ。豊富な資金力を背景に戦力補強や設備投資を行い、結果も出してきた。2000年代に入り巨人が10度、ソフトバンクは8度(ダイエー時代も含む)のリーグ優勝を果たした。

「球団運営には常に時代を読むことが求められる。特に現場に関しては野球のスタイル、選手の気質などの変化に対応した監督の準備が必要となる。巨人とソフトバンクという結果を残した2チームだが、監督起用に関しては好対照なのがおもしろい」(スポーツマーケティング会社関係者)

 巨人は2000年以降、現在も指揮を執る原辰徳監督に16年間の長期に渡り監督を任せている。対するソフトバンクは、昨年まで王貞治が9年、秋山幸二が6年、工藤公康が7年と3氏がバランス良く指揮を執り、今年から二軍などを指揮した経験を持つ藤本博史が新監督となった。

 巨人は原監督の3次政権誕生あたりから「次は阿部監督」の声も聞こえ始めた。阿部は2019年限りで現役を引退して翌年から二軍監督となり、2021年シーズン終了間際には一軍作戦コーチに配置転換。次期監督へ向けての人事と見る向きが多かった。

「育成の巨人には、選手だけでなく次世代の指導者も含まれる。原監督は指揮官復帰にあたり後任育成も任されていた。阿部と同年代の巨人OBを二軍、三軍コーチとして多数、招聘。将来的な阿部内閣を意識してのことだったはず」(巨人担当記者)

 だが、プラン通りに事が進まなかった。チームは若手を育成しつつ、良い形でバトンを渡すという青写真を描いていたが、2年続けて勝率5割を切るなど苦しんでいる。

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2人ともに「今」がタイミングでない?