【予防・その3】「腎」を強くする

「腎」は生命エネルギーの源「精」を蓄え、五臓六腑の根本を支える臓器。そのため、腎が弱いと全身の虚弱につながり、「衛気」も不足しがちになります。感染症の重症化は高齢者に多く見られます。腎は加齢とともに衰えるため、年齢を重ねたら積極的に養生を。また、冷えは腎の大敵なので、寒い季節はしっかり身体を温めることが大切です。

<こんな症状に注意>
めまい、耳鳴り、聴力の減退、物忘れ、抜け毛、若白髪、腰痛、足腰に力が入らない・精力の減退、頻尿、舌の色が淡い

<食の養生>
腎の精を補う食材で、腎の働きを高めましょう。
山芋、白ごま、くるみ、松の実、枸杞の実、羊肉、なまこ、えび、にらなど

【予防・その4】「血」を養う

「血(けつ)」には身体に栄養や潤いを与え、精神を安定させる作用があります。そのため、不足すると全身の栄養状態の悪化、ストレスによる自律神経の乱れなどを招き、免疫力の低下につながります。女性は血不足を招きやすいため、食生活に気を配り、血をしっかり養う心がけを。また、日々のストレスを溜めない工夫も大切です。

<こんな症状に注意>
不安感、不眠、動悸、イライラ、怒りっぽい、頭痛、めまい、胸が詰まる、抜け毛、白髪、冷えのぼせ、舌辺が紅い、舌が痩せて舌苔が少ない

<食の養生>
血を養い身体の隅々まで栄養と潤いを与えましょう。
棗(なつめ)、枸杞の実、桑の実、竜眼肉、鮭、黒きくらげ、にんじん、ほうれん草、ジャスミン、ミント、 菊花茶など

■対処編 初期不調を感じたら

<初期症状の対処法>

 かぜやインフルエンザかなと感じた時は、早めの対処で悪化の予防を。まずは体内の邪気(ウイルスなど)を発散させて、症状を和らげましょう。食事だけではなく漢方を併用することで、体内の「湿(余分な水分や汚れ)」を取り除き、「脾胃(胃腸)」の働きを整えることもポイントです。
※症状に不安がある人は必ず医療機関に相談しましょう

<気になる症状>
のどの痛み、頭痛、節々の痛み、発熱、全身の倦怠感、鼻づまり、咳、食欲不振、吐き気、下痢、嗅覚障害、味覚障害、舌苔がベタつく(苔膩:じたい)

<食の養生>
症状に応じて邪気を発散させる辛味のある食材を。
熱を発散させるもの(寒~涼性):ミント、葛、豆鼓(とうち)、ごぼう、菊花、竹葉、どくだみなど
寒気を発散させるもの(微温~温性):しそ、しょうが、ねぎ、香菜など

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咳や発熱があるときの対処法