ヤクルト・村上宗隆
ヤクルト・村上宗隆

 ヤクルト村上宗隆は今シーズン、プロ野球という枠を超えてスポーツ界で最も注目されるアスリートの1人となった。

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 9月13日の巨人戦(神宮)では、9回に巨人のクローザー大勢から左翼席に55号本塁打を放ち、1964年に王貞治氏(巨人)が樹立した日本人選手のシーズン最多記録に並んだ。ここ9試合はホームランがなく厳しくはなっているが、2013年にバレンティン(ヤクルト)が記録したNPB最多となる60本塁打も視野に入っている。

「村上の大きな武器は爆発力、固め打ちができること。調子が良い時は相手投手のレベルに関係なく、1発で仕留めることができる。遠くへ飛ばすことができる一流の打撃技術、打席内で迷わず自分のスイングができるメンタルはNPBトップクラスで、最強の打者に成長しつつある」(ヤクルト関係者)

「188cm 97kgという恵まれた身体を効率的に使ったスイングができる。下半身のパワーを上半身にしっかり伝導させ、バットを強く、速く振れている。空振りやファールチップの時でもスイング音がスタンドまではっきり聞こえる。こういった選手はなかなかいないので、球場へ足を運んだ際は注目して欲しい」(在京球団スカウト)

 規格外の活躍を見せるスター誕生に周囲も盛り上りを見せているが、村上の凄さは野球の技術だけではない。

 先述のように、55号以降はホームランが出ずに足踏み状態が続いているが、「ベンチではよく声を出しています」と22日の中日戦後に高津臣吾監督が語るなど、結果が出ずも平常心を保ち、常に自分にできることをするというのが村上の強みだ。

「(ホームランが止まっていることについて)監督は心配はしていない。結果が出なくても様子は同じ。練習への熱心さは変わらず、時間があればバットを振る。守備練習にも毎日、必死で取り組んで日に日に上手くなっている。ベンチ、グラウンド上でも一番大きな声を出す。改めて素晴らしい選手、人間だと感じる」(ヤクルト関係者)

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村上は“昭和タイプ”のリーダー?