写真はイメージです(Getty Images)
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作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、巨人・坂本選手の女性トラブルについて。

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「検索してください。口に出すのも嫌だから」

 友人と会ったときに、「巨人の対応、ひどいですよね」と言うので、なにそれ? と聞いたら、口に出すのもおぞましい、という調子で彼女が言うのでハラハラしながら検索してみた。たしかに「何のこと?」という人には、「検索してください。キーボード打つのも嫌だから」と記したくなるような話であった。

 プロ野球界のスターである坂本勇人選手が、女性を呼びつけては避妊せず乱暴な性行為を行い、女性が妊娠すれば「早ければ早いほどいい」と堕胎をすすめたことが、女性の友人の告発をもとに報道された。自分は避妊しないが、女性には負担の大きなアフターピルを毎回飲ませたことや、妊娠した女性に向かって「中出しし放題」などと言い性交しようとする音声までも公開されたが、報道された一連の行為を一言で言えば、女性虐待、だろう。たった1枚のコンドームを拒否し、アフターピルや中絶など、女性の体への負担を強いることを前提で自分の快楽を優先するのは、ハッキリとした加害行為だと思う。

 坂本選手はこれまでも女性への暴力やモラハラ行為が報じられているのだが、球団は目をつむり続け、今回もこの報道後にも坂本選手を試合に起用した。スポーツ新聞をはじめ、大手メディアも一切この件を報じていない。男女のよくあるもめごととでも思っているのだろうか。

 坂本選手がしたことは、刑事で問われることではない。というより、言葉を選ばずに言えば、ありふれた“よくある話”でもある。私は仕事を通して「彼が避妊してくれない」という話を何百回も聞いてきた。性産業でも、コンドームをつけないことを「良いサービス」とし、女性の体にあり得ない負担を強いているお店は多い。少し前に、ティーン向けの性教育サイトで、コンドームをつけずにセックスするための「技」(膣に入れずに女性の股にペニスを挟む行為)を教えるサイトが炎上したが、たったゴム1枚分の快楽は女性の安全や安心を犠牲にしてでも守られるべき、という前提を信じている人はとても多い。

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北原みのり

北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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女性の体への想像力が欠如したまま