尼崎プロジェクトマネージャー・川口陽生氏は、20年の現役引退以降は尼崎市との調整役として走り回っている。イベント趣旨や集まった予算の使い方は全く異なるものの、「(サンズには)個人的には全てにおいて絶対に負けたくない」と言う。

「サンズの『1万人プロジェクト』は大きな話題になりました。NPBのソフトバンクとタイアップしたことで、野球ファンにも知名度が高まったはず。うちは尼崎市と包括的業務提携を結んでから、地域貢献活動に積極的に取り組んでいます。尼崎ボウルのエンタメ化を行い、入場料無料でアメフトのお祭りを楽しんでもらうことが目的です。こういったイベントでもお互いに切磋琢磨できれば良いですね」

 運営全般を任されているのは事務局長・桂雄史郎氏。Xリーグにおけるチーム運営の過酷さを知り尽くしており、サンズがここまで辿り着いた道のりに対しては心から尊敬の意を表す。

「今季から新規親会社もつきましたが、多くのスポンサーによって支えられています。1社協賛という形でやっているチャレンジャーズとの大きな違いです。これまでに培った多くの企業、個人の方々との繋がりが大きな武器だと思います。ゼロからスタートしてXリーグSUPERまで来たことは本当に尊敬します」

 サンズの取り組みに関しては敬意を表すものの、「新しいチームだけに、若さと勢いに任せた危険性を感じることもある」とも語る。

「Xリーグは日本アメフト界最高峰、ロールモデルになるべき存在。以前、サンズ選手がSNS上でうちの親会社・アサヒ飲料をイジるようなことがありました。この時にはクラブを代表して正式に抗議させていただいた。どのチームも親会社、サポート企業様の支えがあるから、苦しい中でもやっていけます。ノリというか冗談半分かもしれなかったですが、絶対に許せないことです」

「今後もXリーグに在籍してチームに伝統や誇りが積み重なれば、そういった大事にすべきものも共有できていくはず。チャレンジャーズは長い伝統、歴史があり先輩方にそういった部分も教えられてきました。だからこそ今は負けてはいけない相手がサンズです。新しいチームに対する壁でいる必要があると思います」

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スポーツ界に新たなライバル関係は生まれるのか