世界平和統一家庭連合(旧統一教会)日本本部(写真/アフロ)
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)日本本部(写真/アフロ)

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と国会議員を巡る報道が連日なされている。しかし、旧統一教会と政治家とのつながりは国政だけにとどまらない。今年7月、神奈川県小田原市の守屋輝彦市長は自民党の池田彩乃市議に紹介され、旧統一教会からの寄付金を受け取ったことが明るみに出た。なぜ、旧統一教会は国会議員だけでなく地方議員にも触手を伸ばしているのか? 1980年代から旧統一教会を取材し、全国霊感商法対策弁護士連絡会の代表世話人である山口広弁護士との共著もあるジャーナリストのいのうえせつこさんに理由をたずねると、当時の生々しい体験を語った。

【写真】10日の世界平和統一家庭連合の会見に集まった、多くの報道陣

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 ある日、横浜で市会議員を務める男性のもとにメールが届いた。

「僕たちは学生です。政治のことを勉強したいので、ボランティアで選挙を応援させてください。事務所で働かせてください」

 文面には、そう書かれていた。

 もしかしたら、旧統一教会のからのメールではないか……。不審に思った議員はいのうえせつこさんに相談した。

 いのうえさんは以前から「旧統一教会は議員を狙っているんですよ」と、さまざまな人に注意を促してきた。それで男性議員が電話をかけてきたと話す。

 メールには彼らが所属する見知らぬ団体名も記されていた。団体のホームページを開いていくと、突如、表示が英語に切り替わり、旧統一教会の創設者である文鮮明の名前が出てきた。旧統一教会は宗教団体であることを隠したダミー団体で活動することがよくあるという。

「議員はびっくりしていましたけれど、『ほら、やっぱり、旧統一教会ですよ』と、私が言ったんです。それで、取材のために議員を説得してメールに返信してもらい、その相手と会うことになった」

あなたたち旧統一教会よね?

 面会場所に指定したのは横浜駅西口にあるショッピングセンター内の喫茶店。男性議員といのうえさんは少し早めに店を訪れ、店内を見渡せる隅の席に座った。やがて1人の青年がきょろきょろしながら喫茶店に入ってきた。真面目で優しそうな若者だった。

「でも、議員のとなりに見知らぬおばさんが座っているのを目にすると、ちょっとびっくりした顔をしていましたね」

 いのうえさんは「私、議員の母親みたいなものだから同席させてもらうわね」と言った。

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