10日午後3時、世界平和統一家庭連合の会見には多くの報道陣が集まった
10日午後3時、世界平和統一家庭連合の会見には多くの報道陣が集まった

 青年は関東学院大の学生を名乗った。実際に在籍していたかどうかはわからない。

「『選挙を手伝いたいっていうけれど、どういうグループなの? 普段は何をやっているの?』と聞いたら、日本大通り公園(横浜市中区)の清掃ボランティアを毎月2回くらいしていると、言っていました。清掃の後で『ミーティング』をしているとも口にした」

 筆者が旧統一教会の広報部に尋ねると、教団が行っている奉仕活動のうち、主なものは清掃ボランティアという。

 現れた学生によれば、横浜のボランティアグループの中心メンバーは横浜国立大、関東学院大、神奈川大の学生で、ほかに専門学校生もいると明かした。

「面談は30分くらいでした。最後に『ちょっと聞くけど、あなたたち、旧統一教会よね』って畳みかけたら、『はい』って。まさか、そんなことを聞かれるとは思わなかったからでしょう。えっ? っていう顔をしていた。『ともかく、もう議員には近づかないで。コーヒー代は私が払うから帰っていいわ』って言ったら、『失礼いたしました』と一言残して帰っていきました」

昔とは違う議員とのつながり

 これまでいのうえさんは、数多くの脱会信者に取材し、旧統一教会が議員に近づく手口を聞き出してきた。

「すると、『選挙のボランティアをやっていた』とか言うわけですよ。このときの面談では学生が1人でやって来ましたけれど、多分ちょろいと思ったんじゃないですか。つまり、ほかの議員たちもみんなそういうふうにして旧統一教会に取り込まれてきたということでしょう」

 1980年代、旧統一教会は印鑑や壺(つぼ)を高額で売りつける「霊感商法」を盛んに行ってきた。その売り上げは教団から反共団体「勝共連合」に流れ、さらに反共を掲げる保守政治家に流れたといわれる。

 しかし、最近明るみに出たケースは、少額の寄付や選挙支援など、旧統一教会と政治家のゆるやかなつながりである。それは国会議員にとどまらず、市会議員や地方議員にも広がっているように見える。

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タダで選挙のビラ配り