天龍源一郎(てんりゅう・げんいちろう)/1950年、福井県生まれ(撮影/写真部・掛祥葉子)
天龍源一郎(てんりゅう・げんいちろう)/1950年、福井県生まれ(撮影/写真部・掛祥葉子)

 50年に及ぶ格闘人生を終え、ようやく手にした「何もしない毎日」に喜んでいたのも束の間、2019年の小脳梗塞に続き、今度はうっ血性心不全の大病を乗り越えてカムバックした天龍源一郎さん。人生の節目の70歳を超えたいま、天龍さんが伝えたいことは? 今回は「夏バテ」をテーマに、つれづれに明るく飄々と語ってもらいました。

【写真】夏バテ解消法のひとつ、天龍流「日光浴」はこちら!

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 連日、暑い日が続いているけど、みんな夏バテは大丈夫かな? 俺はというと、どういう症状が夏バテなのかわからないくらい、夏バテというものをしたことがないんだ。相撲時代は取り組みが終わったらすぐに次の日の準備、巡業のときは次の場所へ移動しなきゃいけないし、プロレスも同じようなものだ。すぐに「次! 次!」という日々だったし、下っ端のときはちょっとのろましたり、面倒くさがったりすると兄弟子から「デレデレするな、この野郎!」と怒られるしね。夏バテしている暇がなかったよ。

 もちろん、暑い日は体力的にキツくなるときはある。でも、俺たちの世代はそれを「自分が怠けている」と思って、からだに「もっと頑張れ」と発破をかけてやり過ごしてきたもんだ。根性論だね(笑)。相撲もプロレスもしょっちゅう違う場所に移動して試合をして、違う人と会ったりしていて気分転換にもなったし、それで気が張っていたというのもあるんだろうね。

 今も特に夏バテすることもなく、現役時代からの習慣だった日光浴を続けている。天気がいい日は朝食後に小一時間くらい日光浴だ。どんなに暑い日でも欠かさずやっているけど「ここはハワイだ」と思ってやると心地いいいもんだよ。日本にいると思うと蒸し暑くてやってられないけどね(笑)。習慣で続けているせいか、日光に当たって汗をかくと調子がいいよ。サウナに入るよりもこっちの方がずっといい。

 それに、朝、日光浴をすると体内時計が正常になって、夜もよく眠れるようになると何かの本で読んだことがあって、それも日光浴が習慣づいている理由のひとつだ。まあ、全然眠れないけどね……。毎日夜中の3時、4時くらいまで眠れないもんで、いつもイライラしてしょうがないよ。それでも朝は遅くても8時には起きるからあんまり寝ていられない。まあ、娘が言うには、昼間にイスに座ってうつらうつらと船を漕いでいるらしいし、飯を食いながら寝るようなこともないから、まだ大丈夫だね。

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天龍源一郎

天龍源一郎

天龍源一郎(てんりゅう・げんいちろう)/1950年、福井県生まれ。「ミスター・プロレス」の異名をとる。63年、13歳で大相撲の二所ノ関部屋入門後、天龍の四股名で16場所在位。76年10月にプロレスに転向、全日本プロレスに入団。90年に新団体SWSに移籍、92年にはWARを旗揚げ。2010年に「天龍プロジェクト」を発足。2015年11月15日、両国国技館での引退試合をもってマット生活に幕を下ろす。

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天龍さんが日焼けするようになった理由とは?