私は霊感商法をやったことがありませんが、売っている人たちは何時に起きて何時に寝たかなどの日常のスケジュールをアベルと呼ばれる直接の上司に報告しなければならなかったが、それもあくまで献身的に仕事をさせるため。どんな人にいくら売ったかという報告は当時やっていなかったし、そういう記録も教会本部に入っていないと思います。現在は当時よりも会員が減っているので、さらにそのようなことをする余裕はないと思います。

――安倍元首相がビデオメッセージを寄せた天宙平和連合(UPF)について問われても「把握してない」という答えが多かった。

 友好団体同士の風通しも悪く、内部は一枚岩ではありません。ヨコの情報のやり取りはほぼなく、知らないというのは嘘ではないと思います。

――母親の献金額は数千万円、数億円にのぼるという情報もあるが、それでも把握されないものなのか。

 一度に数億円、数十億円というものすごい金額の献金をして、文鮮明教祖のもとへあいさつに行ったような人なら、幹部の記憶に残っているだろし、記録していると思うが、何百万という額なら、例えそれが複数回あっても本部では把握していないはずです。裁判になり、教団の顧問弁護士と話している案件なら知っているかもしれないが、それを把握するので精一杯なんじゃないかと想像しています。

――会見ではコンプライアンスという言葉もありました。過去に高額な物品を購入させる霊感商法や高額な献金が社会問題化し、トラブルなどが起きたことを踏まえ、2009年以降、「末端にいたるまでコンプライアンスの徹底を進めてまいりました。09年以降の案件で、そのようなトラブルはありません」と。

 今回、会長という役職の人が記者会見をしたのは珍しいと感じました。従来は広報が答えていたと記憶しているので、その程度のコンプライアンス意識は持つようになったのだと思います。ただし、民間企業で取り組まれているようなレベルのものではありません。これは想像になりますが、文教祖が亡くなり、教祖の奥さんが引き継いでいるが、教祖自身ではないので無茶なことができなくなって、幹部たちが必死で止めているというような状況ではないかと思います。 

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「ぼーっとした役人のように見えるが」教団幹部の“素顔”