結果、犬歯の縮小は、時代が進むごとに顕著になり、新しい人類ほど小さくなっていきます。そのため直立二足歩行と並び、犬歯が小さいかどうかが、人類とそのほかの類人猿の化石を見分けるときの大きなポイントにもなっています。

「ヒトは殺し合いもする、残酷な生き物」と言われることもありますが、「できれば争いたくない」という人が大半ではないでしょうか。平和な生き物としては「ボノボ」が知られています。争いが起きそうになるとお互いの性器をこすり合わせて緊張を解いたりするのです。でも、その犬歯はけっこう立派です。

 ヒトは、ボノボより体は大きいが、犬歯は小さい。人類は本来、争いを好まない平和な生き物なのです。


(構成/ライター 澤田憲、生活・文化編集部 野村美絵)