老人ホームを「終の住みか」と考えず「転ホーム」を 難色を示すのは子ども世代

老人ホーム

2022/06/09 17:00

※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)

有料老人ホームなどの高齢者ホームは要介護状態になったら入居するものだから、一度入居したら、そこが「終の住みか」になるもの……そのようなイメージを抱いている人も多いのではないでしょうか。しかし、「高齢者ホームは入居したらゴールではない、状態に合わせて転ホームも考えてほしい」と言うのは、有料老人ホームコンサルタントで、『間違いだらけの老人ホーム選び』などの著書がある小嶋勝利氏です。「転ホーム」とはどのようなことを指すのでしょうか。お話をうかがいました。

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■要介護状態になって初めてホーム入居を考える

 高齢者ホームに入居するのは、要介護状態になったとき。多くの人はそう考えているでしょう。実際、入居する、あるいは入居を考え始めるのは、認知症の問題行動(徘徊や暴言・暴力など)や排泄の失敗などで対応に困る状態になった場合や、寝たきりになって家族だけでは介護が十分に行えない場合などがほとんどで、それは子どもたちが判断するのだといいます。一方、自ら、元気なうちに高齢者ホームを探す人もいますが、まだ少数派といっていいでしょう。

 要介護状態をホーム入居のきっかけと考える場合、多くは、一度入居したら/させたら、「最期までお世話をしてもらえるところが見つかってよかった、これで安心」と、入居=ゴールの形になっているようです。その結果、高齢者ホームは高齢者の「最期の住みか」になっているといっても過言ではありません。

■心身の状態に合わせて、ホームをかわるべき

 しかし、それでいいのだろうか、と小嶋勝利氏は疑問を投げかけます。

ASFON TRUST NETWORK常務取締役の小嶋勝利氏
ASFON TRUST NETWORK常務取締役の小嶋勝利氏

「高齢者ホームを探した経験のある人はご存じだと思いますが、例えば、『アクティブな生活をお手伝いします』『胃ろうがあっても入居できます』『認知症のケアを専門にしています』など、それぞれのホームでアピールポイントをもっています。そして、そのサービスを支えているのは介護職員で、当然、得意不得意があります。入居生活は2年、3年と続き、その間、入居者の心身の状態は変化していくはず。それなのに、同じホームにとどまるのでは、納得のいくサービスを受けられないかもしれません」

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「転ホーム」のモデルケース

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