今季女子ツアーで圧倒的な強さを見せている西郷真央
今季女子ツアーで圧倒的な強さを見せている西郷真央

 20歳の山下美夢有が初のメジャー制覇を達成した。

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 8日まで開催されていたワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップで、山下は初日からトップを守る完全V。通算12アンダーで2位の青木瀬令奈に3打差をつけて優勝した。

 これで山下は、昨年のKKT杯バンテリンレディスオープンに続くツアー2勝目。山下は「プラチナ世代」のさらに下の世代に当たり、今季絶好調の西郷真央や笹生優花と同じ歳だが、またしても女子ツアーは若手からビッグタイトルを手にしたプレーヤーが出現したことになる。

 渋野日向子、畑岡奈紗、原英莉花、勝みなみら「黄金世代」が次々にツアー優勝を飾ったあたりから、女子ツアーは毎年のように新たなヒロインが誕生し、まさに大混戦の様相を呈している。「黄金世代」の次には、西村優奈、古江彩佳、吉田優利ら「プラチナ世代」が台頭しツアーを席巻。コロナ禍の影響でツアーが年跨ぎとなった昨季は、この両世代の間にあたる「はざま世代」の稲見萌寧が覚醒した。

 稲見は、得意のショットとパットを武器にシーズン9勝を挙げる圧巻の成績で2億5,519万円を稼ぎ出し賞金女王に君臨。東京五輪で銀メダルを獲得した他、ツアーでは平均ストローク、パーオン率、パーセーブ率といった主要ランキングでもトップとなり、まさにバラ色の年を過ごした。

 そんな稲見だが、今季は、渋野と古江が海を渡り米女子ツアーに主戦場を移す中で、再びツアーを牽引する存在になるかと思われたが、10試合を終えたここまでは昨年までと比べるとやや低空飛行。富士フイルム・スタジオアリス女子オープン2位タイ、前週のサロンパスカップ3位タイ以外は突出した成績がなく、予選落ち2回と女王らしくない展開となっている。

 対照的に山下と同年の西郷は、開幕戦のダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメントでツアー初優勝を飾るとここまで4勝した他、2位タイも2回と序盤にしてメルセデス・ランキング、賞金ランキングともに独走状態。もはや女子ツアーに“安泰”や“安定”という言葉はなく、少しでも目を離すと全く異なる景色が広がるほどの新陳代謝が起きている。決して、稲見や2、3年前にヒロインとなったプレーヤーたちに陰りが見えているわけではない。しかし、現在のツアーでトップクラスの座をキープするのは、想像を絶する難しさがあるわけだ。

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