和歌山県が誘致を進めていた、カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備計画。4月20日の県議会の本会議で、国への申請案について、賛成18人、反対22人で否決された。整備計画の提出期限である28日には間に合わず、同県でのIRは頓挫した。
IRの事業者として参入予定だった「クレアベストニームベンチャーズ」代表のマリオ・ホー氏はこの人
「まさか、こんな結果になるとはね。二階先生も驚いていた」
と苦い表情なのは、自民党二階派の国会議員。
和歌山県は二階派会長、二階俊博元幹事長の地元だ。二階氏はかねて、観光業界とパイプが太いことで知られ、全国旅行業協会の会長も務める。IRには推進の立場で県への誘致を訴えてきた。
国内最大3カ所までというIRの整備は、大阪府・市、長崎県に続き、和歌山県で可決される公算が大きいとみられていた。コロナ対策で名を知られた仁坂吉伸知事が「肝いり」で推し進めていただけに、意外な結果となった。
和歌山市南部の海に面した埋め立て地が予定地とされ、事業者として参入予定だったのは、カナダの「クレアベストニームベンチャーズ(CNV)」。資金計画では、初期投資額の約4700億円のうち、70%を国際金融大手クレディ・スイスなどから融資を受けるというもの。
「CNVが本当にクレディ・スイスから融資を受けられるのか。県議会では、それを証明するものを出してほしいと再三、和歌山県を通じ、CNVに要請していた。それが出されたのは、4月19日のIR対策特別委員会の当日です。英語と日本語に翻訳したものが配られたんです。CNVに融資しますが、クレディ・スイスの都合でできないこともありますというような内容。十分に検討する時間は与えられず、最後は配布された文書は回収されてしまった。特に和歌山県が情報を公開しないことに不安を覚えました」
こう話したのは「IR反対」にまわった自民党の山家敏宏県議。
19日の特別委にオンラインで出席した、CNVの代表、マリオ・ホー氏は、
「出せる資料はドンドン、出します」
などと述べ、和歌山県とは見解が異なることも不信感に拍車をかけた。