「地下芸人」からM-12020年の優勝を果たしたマヂカルラブリー
「地下芸人」からM-12020年の優勝を果たしたマヂカルラブリー

 3~4年前のお笑い界では「第七世代」と呼ばれる若手芸人が注目されて、爆発的なブームが起こった。「第七世代」という言葉には、実ははっきりした定義はなかったのだが、その頃に頭角を現していた一群の若い芸人たちを指す言葉として使い勝手が良かったので、広く浸透していった。

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 同じように、最近、明確な定義がないままよく使われている言葉として「地下芸人」がある。地下芸人と呼ばれる芸人がじわじわと注目され始めていて、テレビの企画などでも取り上げられるようになっているのだ。

 3月17日放送の『ダウンタウンDX』では「新時代到来!?地下芸人SP!!」と題して、「地下ライブ」と呼ばれる小規模なお笑いライブで腕を磨いてきた「地下芸人」が多数出演していた。このときに出ていたのは、モグライダー、真空ジェシカ、オズワルド、ランジャタイ、ぺこぱ、ハリウッドザコシショウ、チャンス大城というメンバーだった。

3月26日放送の『さんまのお笑い向上委員会』でも、地下芸人のオダウエダが先輩の地下芸人であるチャンス大城、岡野陽一から生き方を学ぶという企画が放送されていた。

 そもそも、テレビでレギュラー番組を持っているようなごく一部の売れっ子を除けば、ほとんどの芸人は規模の小さいお笑いライブに出ることを活動の中心にしている。いわば、芸人と名乗る人の大半が実質的には「地下芸人」であるとも言える。

 その中でも、一般ウケしづらい荒っぽいネタをやっていたり、テレビで放送できないような下ネタや過激なネタを得意としている人が、狭い意味での地下芸人である。「地下芸人」という言葉がメディアで使われるときには、この2つの意味が混同されて用いられていることが多い。

 地下芸人にスポットが当たるようになったきっかけは、そういう芸風の芸人が立て続けにお笑いコンテストで結果を残したことだ。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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