■蜜璃の決意

 お見合いの場で告げられた言葉は、蜜璃の心を深く傷つけた。しかし、鬼殺隊の長・産屋敷輝哉と出会ったことで、蜜璃は本当の自分と向き合えるようになる。

<素晴らしい 君は神様から 特別に愛された人なんだよ蜜璃 自分の強さを誇りなさい 君を悪く言う人は 皆君の才能を恐れ 羨ましがっているだけなんだよ>(産屋敷耀哉/14巻・第124話「いい加減にしろ バカタレ」)

 そして彼女はやっとみずから「自分のままに生きる」ことを肯定できるようになる。

<私が私のままできること 人の役に立てることあるんじゃないかな?>(甘露寺蜜璃/14巻・第123話「甘露寺蜜璃の走馬灯」)

 蜜璃は、自分の「能力」を「他者のために使う」ことを選んだ。命をかけて、すべてをかけて。――「私悪い奴には絶対負けない」と涙ながらに叫び、日輪刀を振るう甘露寺蜜璃は、いじらしく、そして強い。

<仲間は絶対死なせないから 鬼殺隊は私の大切な居場所なんだから 上弦だろうがなんだろうが 関係ないわよ>(甘露寺蜜璃/14巻・第123話「甘露寺蜜璃の走馬灯」)

<任せといて みんな私が守るからね>(甘露寺蜜璃/14巻・第124話「いい加減にしろ バカタレ」)

■秘められた蜜璃の強さ

 甘露寺蜜璃の最大の武器は「筋力」と、その強さからは想像もつかないほどの「柔軟性」にある。そして、彼女のキャラクターとしての最大の特性は、「見た目ではわからない強さ」を秘めていることなのだ。

 最近話題になった蜜璃の入浴シーンだが、その時の裸体から分かるのは、彼女の健やかな美しさだけだ。体には傷ひとつなく、彼女の腕も腹も背中も尻も、「人間ばなれした筋力」を思わせる描写はない。しかし、ふつうの女の子に見えるその肉体は鍛え上げられている。彼女は「柱」になるまでに、何千回、何万回と日輪刀を振るい、上弦の鬼と互角に戦えるほどの強さを身につけたのだ。

<甘露寺蜜璃の愛刀は 極めて薄く 柔い>(14巻・第123話「甘露寺蜜璃の走馬灯」)

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「今度、また生きて会えるかわからないけど」