大学入学共通テストの会場
大学入学共通テストの会場

 東大前での刺傷事件に続きまたもや大学入試を巡る事件が起こった。

【写真】流出した世界史B

 大学入学共通テスト初日の1月15日午前に行われた「世界史B」の問題用紙の画像が試験時間中に流出した疑いがある問題で、警視庁は大学入試センターからの相談を受けて、偽計業務妨害の疑いで捜査を開始した。

 捜査関係者によると、家庭教師紹介サイトなどを通じて高校2年生の女子生徒を名乗る人物が、4人以上の大学生に接触していたという。依頼主は昨年12月12日、東京大の男子学生(19)ら2人に対して「家庭教師を探していて、共通テストの対策で1月15日に授業をお願いしたい」などと伝えてきたという。

 男子学生は1月15日午前の「地理歴史・公民」試験時間中、驚くべき映像を受け取る。ネット通話アプリのチャット機能から、共通テスト世界史Bの問題用紙の画像20枚が送られてきたのだという。

 警視庁の事情聴取に対して男子学生は14問を解いて返信したという。男子学生は不審に思い、使い道をチャットでたずねると連絡が途絶えたという。

「依頼主」は入試会場で試験中にどのようにして問題用紙を撮影したのだろうか。捜査関係者はこう推理する。

「あくまで見立てだが、袖口にスマホをしのばせ頬杖を突くような形で動画撮影機能を使ったのではないか。コロナ禍で受験者同士の間隔が通常より空いていたことで周囲の目につきにくかったという盲点はあったかもしれない」

 監督官は気づくことはなかったのか。別の捜査関係者は監督体制のずさんさを指摘する。

「試験監督が全く不十分なことにまず驚いた。体制がずさんの一言に尽きる。議論は必要になってくるかもしれないが、携帯電話を物理的に使えなくする遮断措置などの導入を検討すべきかもしれない」

 捜査は現在、どのように進められているのか。

 警視庁捜査一課特殊犯捜査係のハイテク班が中心となり進められているという。捜査関係者がこう解説する。

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特殊犯捜査係のハイテク班の捜査とは?