広島・小園海斗(写真提供・広島東洋カープ)
広島・小園海斗(写真提供・広島東洋カープ)

 広島はセ・リーグの主役への返り咲くことはできるのか……。

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 ここ3年はBクラスに低迷し、一時のカープブームもおさまりつつある。暗黒時代への逆戻りを心配する声もあるが着々と再建は進んでいる。球団方針にブレはなく復活の時は思ったよりも近いかもしれない。

 今季は開幕から苦しい戦いが続いたが終盤に6連勝を記録するなど白星を重ねた。最終的に3位巨人に2ゲーム差及ばなかったものの、クライマックスシリーズ進出にあと一歩というところまでこぎつけ、来季以降に期待を持たせる戦いぶりを披露した。

「数字だけ見ればAクラス入りだけではなく、優勝争いをしてもおかしくない。3連覇時の主力も残ってはいるが若手が出てきたのがなにより大きい。一軍の舞台でも結果を出せている。これを勝利に結びつけるためには試合に出て勝つコツをつかむこと。結果的にチームはBクラスとなったが経験を積ませる時期だったと思う。個々の表情にも自信が見て取れる」(広島関係者)

 今シーズン打つ方ではチーム打率がリーグ1位(.264)だったのに対して、得点数はリーグ3位(557)。個々では打ててはいるが非効率な攻めであるのは明白だ。盗塁数もリーグ3位(68)だったが、トップの阪神(114)には大きく離されている。バント、足などの小技を絡め得点する伝統的な広島野球を再確認する必要性が浮き彫りになった。

 一方、投手陣はチーム防御率がリーグ5位(3.81)と低迷したが、九里亜蓮が13勝(9敗)、大瀬良大地が10勝(5敗)と2ケタ勝利をマークし、クオリティースタート率はリーグトップ(58%)を誇る。昨年新人王を獲得した森下暢仁(8勝7敗)を筆頭に若手も育ってきており、先発陣は顔ぶれがそろってきた印象を受ける。後ろには防御率0.86、37セーブで新人王を獲得したクローザーの栗林良吏がいるが、中継ぎ防御率は4位(3.50)とブルペン陣の底上げは必須だろう。

 当然課題もあるが、その中で光も見えるようになってきた。

「低迷して3年で戦える戦力が揃いつつあるのはさすが。3連覇当時はレギュラー陣に圧倒的な実力があり、そこに適材適所で結果を残すサポート役の選手がいた。主力が変われば立て直しに時間がかかるはずだが、当時から近未来を想定したチーム作りをしていたのだろう。伝統的な猛練習による育成の上手さも変わらない。20代前半の選手が主力になった時は脅威的なチームになるはず」(在京球団編成担当)

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着々と進む世代交代