また、同じ『CBSスポーツ・ボストン』は同6日付の別の記事で、シュワーバーと鈴木のそれぞれの長所と短所を紹介している。

 その記事によれば、シュワーバーはレッドソックス加入後、球団にすぐに溶け込み、球団が求める全てのものを提供したという。また、カブスでワールドシリーズ制覇を経験していることから、大舞台にも動じないと評している。

 一方、鈴木は日本で通算打率.315を残し、ゴールデングラブ賞に3度、オールスターに5度選出されており、印象的な経歴を持っていると紹介。また、今季だけでも日本で打率.317、38本塁打を記録していること、通算出塁率.414を残す選球眼、また、13補殺ができる強肩の持ち主である、という長所が書かれている。そして、同記事を執筆した記者は、「彼は明らかにシュワーバーよりも優れたアスリートである」とその印象を伝えた。

 では、同記事が指摘するそれぞれの短所とは、一体なんだろうか。

 一つは、球団の支出金が高額であることだ。これはどちらにも共通している。同記事によれば、シュワーバーは3年6000万ドル(約68億円)の契約を求めているといい、鈴木は5年5000万ドル(約56億円)前後になるという。しかし、両選手に掛ける金額はほぼ同じになるようだ。というのも、鈴木の場合、ポスティングシステムでの加入のため、契約したMLB球団は広島東洋カープに譲渡金を支払う必要があるからだ。

 『CBSスポーツ・ボストン』が説明している、MLBの獲得球団が広島に支払う譲渡金は次の通りである。

 例えば鈴木の総年俸が5000万ドルであった場合、(A)総額の最初の2500万ドルの部分から20%と、(B)総額の残り2500万ドルの部分から17.5%を足した金額を、広島に支払う必要がある。この(A)20%+(B)17.5% の合計は、約938万ドル(約10億円)ほどになる。

 もし、鈴木の総年俸の総額が5000万ドルを超えた場合は、(C)5000万を超えた部分からの15%も合計に加える。(D)さらに、契約に出来高があれば、その金額の15%も足す必要がある。

 つまり、MLBの球団は、鈴木の総年俸額や契約条件によっては、(A)20%+(B)17.5%+ (C)15%+(D)15%の合計を、譲渡金として支払わなければならない。

 このことから、レッドソックスの場合、シュワーバーと鈴木のどちらと契約しても6000万ドル近くが必要となり、この支出金の多さが懸念であるとしている。

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