ボックサンでは昨年3080円(税込、約12センチ)で売っていたクリスマスケーキを、今年は3240円で販売している。福原さんは言う。

「クリスマスケーキに使う飾り用の砂糖菓子も、ベトナムがコロナでロックダウンした影響で輸入が止まってしまい、国産のものに代えました。どうしても費用は高くならざるをえません。クリスマスケーキは昨年より5~10%は値上げしています。値上げを公表するお店は多くないので、ひっそりと値上げしているところもあるんじゃないでしょうか」

■クリスマスチキンは輸入が減少

 ケーキと並んでクリスマスの食卓には欠かせない「チキン」はどうか。

 農畜産業振興機構が財務省の統計をもとにまとめた資料によると、今年1月の輸入の冷凍鶏肉の価格は1キロあたり186円だったのが、9月には232円に上昇。背景には、輸入鶏肉の多くを占めるタイ産の鶏肉が減少したことがあると見られている。タイでは7月半ばからロックダウン(都市封鎖)を実施。9月の輸入量は8300トンで前年比87.1%と急減している。

 食品スーパー「アキダイ」(東京都)では例年、クリスマス用にタイ産のローストチキンを500本仕入れていたが、今年は卸売会社から「一本もない」と言われたという。秋葉弘道社長は言う。

「値段はなるべく上げないように努力しているが、輸入鶏肉の仕入れ価格は上がってる。ローストチキンについては中国産やアメリカ産で代わりに対応しようとしているが、しっかりと確保できるかまでは確証はないのが率直なところです。仕入れできるように祈るだけですね」

 日本ケンタッキー・フライド・チキンは「今のところ影響はない」と言う。契約農場から国産の鶏肉を仕入れているため、市場からの影響は受けにくいそうだ。広報担当者はこう語る。

「当社にとってクリスマスは一年で一番盛り上がる時期です。一年中、クリスマスに向けて準備をしており、数量も確保しており、値上げの予定はない。ここでしっかりと商品を届けないでいつ届けるのか、という気持ちで取り組んでいます」

 クリスマスを待ち望む子どもたちや“サンタ”をがっかりさせないよう、メーカーも店も努力を続けているようだ。(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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