安倍派会長に就任した安倍晋三元首相
安倍派会長に就任した安倍晋三元首相

 自民党最大派閥「安倍派」が誕生した。清和政策研究会(旧細田派)は11月11日に総会を開催。会長だった細田博之氏が衆院議長に就任したことで安倍晋三元首相が新会長となり、安倍派に衣替えした。

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 安倍氏は第10代会長で父で自民党幹事長などを歴任した安倍晋太郎氏が第2代目会長だ。その頃からさかのぼると、30年ぶりに安倍派が復活したことになる。

 挨拶に立った安倍氏は、前会長の細田氏に謝意を伝え、こう訴えた。

「清和政策研究会は半世紀にわたり日本の背骨を担い、ひたすら政策を鍛え、磨いてきた。さらに実践のため、団結して汗を流し続けたい」

 得意の外交安全保障や憲法改正についても熱弁をふるった。

「外交安全保障であります。総選挙が公示された日、北朝鮮がミサイル発射。中国は近年、急速な軍事費を背景に台湾に軍事的威圧をかけている。厳しい環境を直視することが求められている」

「憲法改正であります。維新も国民民主党も憲法改正の議論については前向きです。議論の先頭に清和会が立とうじゃないですか」

 安倍派は衆院選で所属議員数人が落選したが、それでも数は93人。第二派閥、麻生派は53人なのでダントツの数を誇る。

 そして竹下亘前会長の逝去で会長不在だった旧竹下派(51人)は茂木敏充幹事長が次期会長に内定した。自民党幹部がこう言う。

「今回の衆院選では261議席を獲得と善戦した。ただ、派閥単位でみれば、どこも人数を減らしている。これから、派閥再編の中で次の総裁候補をどう育てるのか、それが最大のポイントだ」

 麻生派は9月の総裁選に立候補し、人気の高い河野太郎氏を擁する。旧竹下派もこれまで加藤勝信元官房長官、小渕優子元経産相など「次の」争いが注目されたが、茂木幹事長が次期会長に決まった。

「次の総裁候補に一応の決着がつき、茂木氏の下で一致結束を図る」(旧竹下派の国会議員)

 一方、苦戦が続くのが、石原派、石破派、二階派だ。

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厳しい状態が続く二階派