東京新聞の望月衣塑子記者(撮影/小山幸佑)
東京新聞の望月衣塑子記者(撮影/小山幸佑)

 立憲民主党の枝野幸男代表が2日、代表を辞任する意向を示した。衆院選で96議席と公示前を13議席も下回った結果に責任を取った形だ。共産と組んだ野党共闘は続けるべきなのか。維新との違いは何だったのか。そして、代表選の有力候補者は誰と見ているか。東京新聞記者の望月衣塑子氏に聞いた。

【写真】野党共闘は正しかった、というジャーナリストは誰?

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 野党共闘で候補者を一本化した結果、小選挙区ではそれなりの結果をだしたものの、トータルとして、立憲や共産が議席を伸ばせなかったという点では、野党共闘には、課題が残ったと思います。

 例えば、ある選挙区では野党統一候補で一本化されたものの、立憲の支持者が共産党の候補者に投票をしたかというと、半分程度しか入れてなかったと聞きました。やはり共産党に対する“アレルギー”があったのだろうと思います。反共産の姿勢を明らかにしている連合の票が動かなかったのも今回の選挙に大きく影響したと思います。

 立憲は支持を広げ切れていない現状がありました。「政権選択選挙」と銘打っていましたが、取材をしていると「自民党にお灸を据えたい」という有権者の意向は感じましたが、それが「政権交代」までにはつながっていない。「立憲も共産もどうかな」と悩む人もいました。

 また、今回、立憲が掲げた夫婦別姓やジェンダーや多様性といったテーマは、多くの有権者にとってまだ重要な争点になっていなかったようでした。やはり、一番の関心はコロナ対策や経済対策だったと思います。共産党との「閣外協力」にも理解をしてくれた人が多かった一方、距離を感じた人もいたそうです。その結果、第3極である日本維新の会や国民民主党の議席が増えたのではないでしょうか。

 選挙結果からすれば、代表の枝野幸男氏の辞任は当然でしょう。自民が大負けした場合、それは同じです。福山幹事長も辞めると言っています。

 今回の選挙では与野党問わず、国民は世代交代を望んでいましたね。自民は甘利明氏や石原伸晃氏など負けた人の多くが、ベテラン勢でした。立憲でも小沢一郎氏や中村喜四郎氏が落選しました。世代交代という点も重く受けとめるべきでしょう。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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