市民連合と政策合意し、記念写真に納まる(左から)社民党の福島瑞穂党首、共産党の志位和夫委員長、立憲民主党の枝野幸男代表、れいわ新選組の山本太郎代表(c)朝日新聞社
市民連合と政策合意し、記念写真に納まる(左から)社民党の福島瑞穂党首、共産党の志位和夫委員長、立憲民主党の枝野幸男代表、れいわ新選組の山本太郎代表(c)朝日新聞社

 立憲は世代交代が進まなかったことのほかに、今回議席を減らした原因として、野党共闘が失敗したからという見方があります。共産党と組まなかった維新や国民民主党が議席を伸ばしたので、「共産とは組まないほうがいいのでは」という指摘です。

 トータルの議席は伸ばせませんでしたが、一定の効果があったのは間違いありません。野党が共闘した213選挙区を見ると、1万票差以内で敗れたのは31選挙区もありました。立憲は小選挙区では、前回よりも9議席増やしました。立憲の吉田はるみ氏が自民の石原伸晃氏を破り、立憲の太栄志氏が自民の甘利明氏を破ったのは、野党共闘があったからこそでしょう。ただし吉田氏も太氏もベテラン自民候補者との対決として注目され、投票率も高かった。組織票がないだけに、共闘してさらに投票率が上がらないと、競り勝つことが難しいことを示しています。

 小選挙区という制度を前提とする限り、与野党の一対一のわかりやすい構図をつくり、投票率を上げていくのが良いのではないかと思います。

 野党共闘の中で、一部有権者の共産党アレルギーもありました。それについて言えるのは、立憲も共産も「合意した政策のみ協力する」と限定的であることを有権者に伝えきれていなかったのは課題ということでしょう。

 取材をしていると、今の国民は「穏健保守」を求めているように感じます。立憲が政権を担いたいのならば、ジェンダー問題や多様性の尊重などリベラル的な課題だけではなく、保守層にも響くような政策も掲げ、積極的に支持層を広げていく必要があるでしょう。

 自民党は過半数を確保したものの、岸田首相が掲げた政策をどこまで実行できるのか、これから国会が開かれれば、課題がたくさん出てきます。そんな中、決められない政治や腰砕けの経済政策が続けば、支持率は下がり、来夏の参院選は、厳しいものになってくると思います。

(まとめ/AERAdot.編集部 吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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