写真はイメージです(Getty Images)
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「LINE交換しない?」

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 プライベートならまだしも、職場で自分より若い人や部下に対話アプリ「LINE」でのやりとりを持ちかけたことはないだろうか。相手との距離を縮めようとして、つい軽い気持ちで放つ一言。うっかり、30代の記者は、編集部に新しく入ってきた20代女性に聞いてしまった。口にした瞬間、自分に失望。自分が20代だった頃、年上からSNSの交換を問われると断れず、「ともだちじゃないのに、『ともだち』に追加されたわ……」と、戸惑ったものだ。かつて、自分がされて違和感を抱いたことを、若い人にやってしまったのだ。気をつけないと「LINEハラスメント」になるかもしれない。「大人力」に関する著書が多数あるコラムニストの石原壮一郎さんに、職場内のLINEマナーを聞いた。

 上司からLINE交換を問われた部下は、親近感の表れかと思って快諾することが多いだろう。はじめのうちはいいかもしれない。しかし、油断していると予想だにしないトラブルに巻き込まれることもある。上司によっては、「既読」がつくのを確認しながらリアルタイムで部下の動向をうかがったり、仕事の進捗状況の報告や返信を執拗に煽ったりするというハラスメントの域に達するケースもある。過去にそうしたトラブルを実体験した筆者が、年下を同じような状況下に追いやってしまうことに不安を覚えたのだ。

「年齢を重ねるにつれ、自分が若い時に年長者にされて嫌だったことを忘れがちになります。例えば、飲みに行って説教するとか。そうした先輩にはなるまい、と思ってきたことをついやってしまう。それが、LINEを中心とするSNSでもみられるご時世です。ハラスメントをしている側は、『悪気はなかった』、『そんなつもりじゃなかった』、『親しみの表れだった』と、自分に都合よく解釈するもので、セクハラをした人と同じ言い訳をします」(石原さん)

◆職場内でのLINE交換は慎重に

 LINE交換は悪いことではないが、家族や恋人、友人などとのコミュニケーションの場でもある。そこに仕事が入り込むのだから、年長者は気を配った方がよさそうだ。

「本来、LINEは便利で楽しいツールなのに、そこに職場の人間関係や仕事の義務感が入ってくると、途端に面倒なものになります。立場によっては、『仕事のやりとりに利用するのをやめてください』と言いにくいのがLINEの厄介なところ。相手に逃げる余地をほとんど与えないため、少なくとも年長者からLINEを聞くのは慎重になった方がいいと思います」(石原さん)

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