華原朋美(C)朝日新聞社
華原朋美(C)朝日新聞社

『アウト×デラックス』ではふくよかな体をさらけ出してダイエット企画に挑戦し、『お笑いの日2021』ではおいでやすこがとのコラボ漫才を演じて、『爆笑!ターンテーブル』では過去の恋愛エピソードを歌ネタにして披露した。いま最も身を削っているバラエティタレント、それが華原朋美である。

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 バラエティ番組に出るタレントは、どれだけ身を削れるかのチキンレースをやっているようなところがある。時代の寵児だったカリスマ音楽プロデューサーとの大恋愛と大失恋を経て、その後も浮き沈みの激しい芸能生活を送り、何かと世間を騒がせてきた華原は、削れる身の分厚さが尋常ではない上に、それをあっけらかんとやってのけるサービス精神にあふれている。

 小室哲哉が手がける音楽がヒットチャートを席巻していた90年代中盤に、華原朋美は彼にその才能を見出され、歌手として鮮烈なデビューを飾った。「I BELIEVE」「I’m proud」などのヒット曲を連発して、CMにも多数出演して、若い女性の憧れの存在になった。私生活では小室と恋愛関係にあり、浮世離れしたゴージャスな暮らしをしているとも噂されていた。

 当時、若者だった世代の人間は、今でも華原のことを「朋ちゃん」と呼ぶ。その呼称に込められた特別な思いを、同世代ではない人に理解してもらうのは難しいかもしれない。恐るべき純粋さと明るさと危なっかしさをはらんでいるからこそ、最大限の親しみと畏怖を込めて彼女は「朋ちゃん」と呼ばれるのだ。

 90年代当時の華原は圧倒的な存在感があったし、特に同性からの人気は高かった。でも、ほとんどの人は、手放しで絶賛してるというよりは、その危なっかしさも含めて目が離せない、という感覚を持っていたように思う。

 その後、華原は小室と破局して、苦難の道を歩むことになった。歌手やタレントとして断続的に活動を行っていたが、心身の不調や私生活のトラブルで活動が途絶えることもあった。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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