中日の来季監督就任が決まった立浪監督(c)朝日新聞社
中日の来季監督就任が決まった立浪監督(c)朝日新聞社

 野球評論家の立浪和義氏が中日の来季監督に就任することが、メディアで一斉に報じられた。与田剛監督就任3年目の今季は5位に低迷。大野雄大柳裕也と球界を代表するダブルエースを擁し、セットアッパー・又吉克樹、守護神・R.マルティネスと「勝利の方程式」を確立している。チーム防御率3.23はリーグトップ。それでも勝てない原因は、深刻な貧打だ。

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 本拠地が広いナゴヤドームで守備力を重視した野球を志向するのは当然だ。だが、それにしても得点が入らなさすぎる。今季のチーム総得点は392。セリーグの5球団が500得点を超えている中、断トツのリーグ最下位だ。核になる選手が少なすぎる。他球団でもレギュラーを張れるのはヒットメーカーの大島洋平、4番・ビシエド、今季急成長した正捕手の木下拓哉ぐらいか。中心選手にならなければいけない高橋周平は打率.257、5本塁打で、遊撃の守備力は申し分ない京田陽太も打率.258、3本塁打と物足りない。主力として期待された阿部寿樹、平田洋介はファーム暮らしで、44歳の福留孝介に頼らざるを得ないのが現状だ。

 ただ、与田監督には同情の声も。

「貧打はシーズン前から分かり切っていた課題です。それなのに、補強した野手の新外国人は年俸5000万円のガーバーだけ。打率.156、0本塁打、1打点と期待外れの成績で5月中旬以降はファーム暮らしが続いています。FA補強にも参戦しないし、本気でチームを強化する姿勢がフロントから伝わってこない。与田監督も色々テコ入れしてきましたが、今の戦力では限界がある。立浪氏が監督になっても、フロントが変わらなければ厳しいと思います」(スポーツ紙記者)

 今秋のドラフトでは1位・ブライト健太(上武大)、2位・鵜飼航丞(駒大)、6位・福元悠真(大商大)と大学生の野手3人を指名。即戦力獲得で打線を強化したいという思いは伝わってきたが、12球団で唯一の育成ドラフト指名なしに、「低予算なら将来を見据えて、一芸に秀でた金の卵を育成枠で獲るべきでは」と疑問の声が上がった。

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