打撃不振でも中田は投手をのみこむ威圧感がある。侍ジャパンでも活躍したように、日本を代表する和製大砲であることは間違いない。原辰徳監督はその実力を高く評価し、カンフル剤として1軍で起用したのだろう。

 ただ、「中田獲得」が他球団の闘志に火をつけたのもまた事実だ。

「米国から復帰してきた山口俊もそうですが、中田を獲得できるなんて巨人しかできない。中田、坂本勇人岡本和真、丸、ウィーラーと迫力十分の打線ですが、戦力で劣っていても負けたくないじゃないですか。中田との対戦で投手陣に内角に速い球を徹底的に突けと言っていましたが、強気に攻めてくれた。あとは戦力補強が必ずプラスにはならないという事ですよね。中田が一塁のスタメンで出ることで中島宏之が外れる。中島は勝負強い打撃で厄介だったので、外してくれて助かりましたね」(他球団のスコアラー)

 巨人の大失速はもちろん中田の責任だけではない。ただ、中田獲得がペナントレースの流れに影響を及ぼしたことは間違いないだろう。(牧忠則)