巨人の中田翔(C)朝日新聞社
巨人の中田翔(C)朝日新聞社

 勝負の9月以降に8勝17敗6分と失速した巨人ヤクルト阪神に突き放されて優勝争いから脱落してしまった。菅野智之、丸佳浩と投打の軸として期待された選手が思い描いた活躍ができなかったのは誤算だが、戦力補強の難しさを感じさせられたのも事実だった。

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 今年最も衝撃的だった移籍劇は、日本ハムから8月に電撃トレードで獲得した中田翔だろう。日本ハムで不動の4番として活躍し、打点王を3度獲得するなど実績は十分。ところが、チームメートへの暴力事件が発覚し、1、2軍戦の試合無期限出場停止処分が下されたが、巨人に移籍すると2軍での調整を経ず1軍で即起用された。

「日本ハムで無期限の出場停止になったのに、移籍してすぐに1軍で出場していることに、多くの野球ファンが疑問を感じた。でもこれは巨人が悪いというのではなく、NPBが出場についての裁定を下すべきだったと思います。中田も世論の厳しい声は耳に入っていたと思います。精彩を欠いて結果を出せなかったことでさらに批判が高まった。首位争いしていたチームに、プラスアルファをもたらすことができませんでした」(スポーツ紙デスク)

 そもそも、今年の中田は春先から状態が上がらず試行錯誤していた。日本ハムでは打率.193、4本塁打、13打点。4番から外し、様々な打順で起用するなど栗山英樹監督も苦心したが、打撃不振は深刻でファームに降格した。暴行トラブルは東京五輪期間中の8月上旬に開催されたエキシビションマッチの試合開始前に起きた。巨人に移籍したから、すぐに結果が出るほど甘くない。13試合出場で打率.156、1本塁打、2打点と結果を残せず、9月11日にファーム降格。最短の10日間で21日に1軍再昇格したが、9試合出場で打率.083、1本塁打、1打点と期待に応えられず、10月1日に登録抹消された。

 中田と対戦した他球団の投手はその胸中をこう明かす。

「怖い打者ですよ。いくら調子が悪いとは言われていても、甘く入ったら1発を浴びるリスクがある。中田さんが打つとチームも盛り上がるでしょう。引き立て役にはなりたくないですしね。絶対に打たれたくなかった」

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