(左から)遠藤利明選対委員長、福田達夫総務会長、岸田文雄総裁、甘利明幹事長、高市早苗政調会長(C)朝日新聞社
(左から)遠藤利明選対委員長、福田達夫総務会長、岸田文雄総裁、甘利明幹事長、高市早苗政調会長(C)朝日新聞社

 自民党の岸田文雄新総裁(64)が党役員人事を決めた。甘利明幹事長(72)、福田達夫総務会長(54)、高市早苗政調会長(60)、遠藤利明選対委員長(71)の「4役」がそろって会見したが、4人の平均年齢は64.25歳。さらに内閣の要、官房長官には、松野博一元文科相(59)が内定した。自民党の閣僚経験者がこう指摘する。

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「安倍さんのひとり勝ちでしょう。幹事長の甘利さんは盟友だし、総務会長の福田氏も同じ派閥(清和会)の後輩だし、政調会長も自分が推した高市さん。当初、官房長官は腹心の萩生田文科相を押し込むとみられていたが、土壇場で松野氏に替えられたようだ。松野さんも清和会です」

 安倍晋三元総理が支援した、高市氏は当初の予想を覆し、一回目の議員票では、河野氏を上回る2位になった。決選投票では、高市氏の票を岸田氏に集めて、岸田氏を総理総裁に導いた。

 昨年9月、菅義偉総理が勝った総裁選では、二階俊博前幹事長、麻生太郎氏、安倍氏と3人のキングメーカーがいた。

 二階氏は幹事長を退任し、麻生太郎氏も財務相兼副総理から自民党副総裁となる予定だ。財務相の後任には、麻生氏の義弟、鈴木俊一元環境相が有力視され、中枢からは一歩、引いたような印象だ。菅氏も推していた河野太郎氏が敗れたので、政権に影響力を残すのは厳しいようだ。

 そんな中、岸田総裁は安倍氏、麻生氏とともに「3A」と称される甘利氏を幹事長に抜てき。安倍氏が推した高市氏、松野氏も引き立てた。安倍氏は総裁選の終了後、高市陣営の会合で「高市さんを通じて自民党がどうあるべきかをしっかりと訴えた。一体となって岸田新総裁の下、衆議院選挙を勝ち抜こう」と上機嫌で語った。

「岸田政権も安倍政治の継承のようで、組閣にも安倍氏の側近が起用されるでしょう。岸田次期総理の上に、最高顧問として安倍氏がいるような党の幹部人事だね。党内はドン引き状態です」(前出・自民党の閣僚経験者)

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河野太郎氏、小泉進次郎氏は「左遷」か