エンゼルスの大谷翔平(Getty image)
エンゼルスの大谷翔平(Getty image)

 エンゼルスの大谷翔平投手は、10月3日(日本時間4日)に行われる今季最終戦に、投手として登板しないことが決まった。大きな注目を浴びた、ベーブ・ルース以来となる「2桁勝利&2桁本塁打」の偉業達成は、来季以降に持ち越しとなった。

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 二刀流に挑んだサムライが、これほどの活躍をしなければ、ルースの名前が日本で取りあげられることはなかっただろう。大谷はまだ27歳、偉人に並ぶチャンスはいくらでもある。まずは来季、「104年ぶり」の偉業達成に挑む。「もし、大谷選手がベーブ・ルースの記録に並べば、次世代のスターとして扱われ、しばらくは米球界の顔になるでしょう」と話すのは米国在住ジャーナリストの澤良憲さんだ。

「シーズン前半は『ルースの再来』と言われていたのが、今では、『大谷選手は”ルースの再来”ではなく、大谷選手だ(唯一無二の存在だ)』とまで言われるようになりました。今季、大谷選手がルースの記録に近づけば近づくほど、『ルースと並ぶのでは?』あるいは『記録を破るのでは?』と大いに盛り上がりました。それもメジャーリーグやアメリカの各メディアが大手を振って取り上げ、その結果を期待しているわけです。『野球の神様』の記録に並ぶことを彼らが期待しているのですから、これがいかにすごい事かよくわかると思います」

 ところで、そのベーブ・ルースがどのような人物だったかは知っているだろうか。圧巻のパワーで本塁打を量産しファンを熱狂させる一方、グラウンド内外での破天荒ぶりにも注目が集まった、アメリカの英雄である。そんなルースが残した数々の逸話をたどってみたい。

 1936年、米野球殿堂入りした初代メンバー5人のひとりであることが示す通り、ルースは国民的人気を誇った米スポーツ界の英雄である。まずは選手としての偉大な記録をまとめておこう。

■188センチ、100キロ。左投げ左打ち。

 14年から大リーグで活躍すること22シーズン。当初は投手として活躍し、二桁勝利を4度あげるなど通算94勝、防御率は2.28。18年には投打の二刀流として13勝、11本塁打を記録した。

 圧倒的に注目を浴びたのは19年以降の打者としてのルースだ。

 通算成績では打率.342、714本塁打(歴代3位)。2214打点(同2位)、長打率.690(同1位)。本塁打王12回は現在でも最多記録である。

 20年ごろまで、大リーグの本塁打王は本数が一桁の選手も珍しくなく「飛ばないボールの時代」とも揶揄されたほど。ルースは桁違いの長打力で驚くほどの本塁打数を刻み、時代を変えたと評価されている。

 さらに、記録以上に残るのは数々の逸話だ。古い時代ゆえ、その生い立ちや選手時代の話は文献によって異なり真偽不明なものも少なくないが、いまだに語り継がれている美談もある。

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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