「杉咲は『憑依型女優』という一面もあります。2016年公開の映画『湯を沸かすほどの熱い愛』で、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞しましたが、当時の撮影について『ずっと現場にいたいって思うくらい、役として過ごす時間の方が楽しかった』『家に帰ってからも役の気持ちが切れなくて。そうやって過ごした方が楽だった』と、バラエティー番組で話していたことも。暗い役や重い役を演じたときは、家でもイライラしてしまい母親に迷惑をかけていたこともあるそうで、今では仕事と私生活の切り替えを意識するようになったそうです」(同)

■高畑充希や多部未華子のような存在へ

 こうした気質がある杉咲にとって、女優という職業は天職なのかもしれない。民放ドラマ制作スタッフはこう言う。

「杉咲さんは、みんなで一つのものを作っていることに喜びを感じ、撮影現場に立つ時がまさにそんな瞬間だと話していました。そんな身も心も女優業にささげる姿勢が演じる役柄の魅力を発揮することに繋がり、視聴者も杉咲さんの演技にどんどんハマっていくのでしょう。また、演技力が高く、華やかさよりも現実感のあるルックスなので、朝ドラのヒロイン経験者でいうと高畑充希さんや多部未華子さんのような路線で活躍していくかもしれません」(同)

 ドラマウオッチャーの中村裕一氏は、彼女の今後をこう分析する。

「『恋です!~』では盲学校に通う弱視の主人公を演じるとあって、かなりハイレベルな芝居が要求されると思いますが、彼女の演技力、表現力なら難なくクリアするでしょう。童顔のため実年齢よりも幼く見られがちですが、目には秘めた意志の強さがあり、どんな役でも違和感なく自然と作品世界に溶け込んでしまう。見ている側は、いつの間にか彼女の一挙手一投足に見入ってしまう不思議な魅力があります。まだ23歳と将来性は無限大。女優以外の時間も大切にしながら、じっくりキャリアを積み重ねていってほしいです」

 期待のドラマ枠で難しい役どころとなるが、杉咲がどんな演技を見せるのか注目したい。(丸山ひろし)

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丸山ひろし

丸山ひろし

埼玉県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集業務に従事。その後ライターに転身し、現在はウェブニュースや、エンタメ関連の記事を中心に執筆している。

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