先月末ごろから躍進するペレスを、ロイヤルズの地元『カンザスシティ・スター』で番記者を務めるリン・ワーシー記者は次のように述べる。

「19年以降の彼の躍進には非常に興奮しています」

 ペレスは、19年3月にトミー・ジョン手術を受け、同シーズンを全休している。復帰となった昨季は、短縮シーズンながら37試合の出場で、打率.333、11本塁打、32打点の成績を残し、同年のシルバースラッガー賞(捕手)とカムバック賞に輝いた。

 同記者によれば、ペレスは復帰初年の昨季、打席でのアプローチを洗練させて改善することに集中していたという。そして、その結果、キャリア初期に比べ、相手投手に対して慎重に対策を練るようになっており、それが今季の躍進につながったと同記者はみている。

 また、昨オフにはフロリダ州でマイク・トーサル打撃コーチとマンツーマンで特訓を行い、シーズンを通してそのプレーに一貫性を持たせるためのルーティン構築に、かなりの時間を費やしていたとも同記者は明かしている。

 しかし、なぜペレスは後半戦からこれほど多くの本塁打を量産できるようになったのだろうか。ワーシー記者は、ペレスの足の使い方と打球の方向に躍進の「カギ」があると指摘する。

「ペレスは、足をより活用してスイングの力を増やす努力しました。その結果、強打性の当たりの割合は昨季よりも高くなり、最近ではハードヒット率は99パーセンタイルで、両リーグでも上位にいます(大谷とゲレーロJr.のハードヒット率は97パーセンタイル)。さらに、フィールド全体にボールを飛ばせるようになりました。(右打者のペレスは)若い頃はレフトに引っ張ることに集中していましたが、今は自身の力を使い、センターやライトに流すホームランも頻繁に見るようになりました。例えば、17年はシーズン27本のうちライトやセンター付近に放った本塁打は2本だったのに対して、今季は少なくとも3倍に増えています」

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