テレワークが進む中、社食の売り上げが10分の1以上に減ったところもある(写真はイメージです/gettyimages)
テレワークが進む中、社食の売り上げが10分の1以上に減ったところもある(写真はイメージです/gettyimages)

 コロナ禍に見舞われた1年半の間に、企業がテレワークを推進する機運は一気に高まった。働き方改革や感染対策の面でメリットがある一方、テレワークが進むほど困るのは、企業内にある社員食堂だ。出社率が減るほど、「社員のいない社員食堂」が生まれてしまうというジレンマがある。維持費や食品ロスなどの問題を抱える社食は今、どうなっているのか。実態を取材した。

【画像】社食界トップクラス! ソニーの社員食堂はこちら

「コロナの影響で休業している社員食堂は多く、中には廃業しているところもあります。なんとか営業を続ける社食も、大きな打撃を受けている状態です」

 こう話すのは、全国の社食を取り上げるサイト「社食ドットコム」代表の藤井直樹氏だ。 

 企業の社食は外部委託されている場合が多いが、コロナの長期化による営業不振などで撤退が相次ぎ、実質的に社食を失った企業も少なくないという。

「2年ほど前までは、福利厚生として社食を充実させる企業が多く“社食バブル”のような状態でした。ヘルシーメニューなどを充実させ、好きな料理を選べるビュッフェスタイルの採用も増えていました」(同)

 藤井氏によると、このような先進的な取り組みをしていた代表格が、ソニー本社(東京・品川区)の社員食堂だという。社内にはカフェテリアやビュッフェ、サラダバーなど多彩なラインアップがそろう。窓からはレインボーブリッジや東京タワーを一望できるリラックスゾーンもあり、社員の憩いの場となっていたようだ。

 そのソニーの社食は今、どうなっているのか。

 同社の広報担当者によると、現在はビュッフェとサラダバーは停止、社食内に28列あった提供レーンも、現在稼働しているのは4レーンのみだという。ソーシャルディスタンスを保つため、1243席あった座席数も、408席まで減らした。

 ランチの提供数(喫食数)は、コロナ前は約5000食あったが、現在は約500食に。約300食出ていた夕食は、現在は停止中だという。コロナ対策として、使い捨てカトラリーの提供や、ほぼすべての食堂メニューのテークアウト販売なども始めるなど工夫はしているが、限界はあるようだ。

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かさむ人件費…社食運営会社では人員削減へ