甲子園にピッチャーとして出場した水落雄基被告(C)朝日新聞社
甲子園にピッチャーとして出場した水落雄基被告(C)朝日新聞社

「野球部の練習グラウンドの一角に建物があります。そこに専門の整体師さんに来てもらいマッサージするベッドなどが置いてある。そこに水落被告は『吸い玉治療してやろう』『マッサージするから』と言葉巧みに野球部員を呼び出していた」

 学校側は訴えを認めた水落被告に対し、今年3月に懲戒解雇処分を下した。

 福岡県出身の水落被告は高校時代から地元ではドラフトで指名されると期待されたサウスポー投手だった。福岡県の東福岡高校では1年生から活躍。2年生の夏には甲子園に出場し、水落被告の好投で初戦を突破した。水落被告と高校時代に一緒にプレーした友人はこう話す。

「左腕で速球は140kmを楽に超えるようなすごい球を投げていた。変化球も切れるし、練習試合でもプロのスカウトが偵察にくるほど有名なピッチャーでしたよ。高校3年生の秋はドラフトで指名されるかもと、学校で待機していたほどでしたよ」

 だが、ドラフトの指名はなく、水落被告は地元の福岡大学に進学。東京五輪の野球で金メダルを獲得した梅野隆太郎捕手(現・阪神選手)らと一緒にプレーしたという。

 卒業後は保健体育の教員免許も取得。いくつかの高校で講師などとして働き、2020年4月に大阪の私立A高校に常勤講師として赴任し、野球部のコーチにも就任していた。

「大学時代はあまり活躍できず、一度、野球はあきらめたとか言っていた。しかし、高校時代の仲間から誘いがあって、また始めたと聞いていた。強豪校のA高校からコーチでとオファーがあって、『指導者として甲子園にもう一度、行きたい』と嬉しそうに話していましたよ。今回の事件をニュースで見て驚きました。教え子の野球部員に対してわいせつなことをするなんて、信じられません」(前出の友人)

 問題が発覚後、学校側は水落被告を処分。被害者が大阪府警に刑事告訴したことから、逮捕に至ったという。逮捕翌日の8月19日には大阪府警がA高校の関連場所を強制捜査したという。

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被害者は50人超か